ニューノーマルで悩む管理者の夜

第九夜 オリンピックで悩む管理者の夜

概要

変化を体言するキーワードが、「ニューノーマル」。珍常態を、システム管理者目線でゆるーく語っ ていこうと思います。

目次
オリンピックは開催されるのか?
企業トップが警鐘、スポンサーも危機感
医療現場の実情、それは営業と開発の対立
IT活用のオリンピック、というよりオリンピックのIT
世界から狙われる日本、新型コロナではないウィルス蔓延
ニューノーマル下でのオリンピック
前回の東京オリンピックというオールド体験
日本の動向と世界の要望、リビドーだけでは駄目

オリンピックは開催されるのか?

2020年、そして今年2021年、最大のイベントとなるかもしれないオリンピック。正確にはオリンピックとパラリンピックですが、開催されるのでしょうか?来年2022年には、北京で冬季オリンピックが予定されています。もう1年延期はたぶん難しいでしょう。いや、でも同時開催もありえるかな? 夏に東京、冬に北京(*1)か。そっちのほうが好くない? 今回は、オリンピックをテーマにしたいと思います。

企業トップが警鐘、スポンサーも危機感

まず、今回の東京オリンピック2020について、5月14日に楽天の三木谷会長が、米CNNビジネスとのインタビューで「ワクチン接種が非常に遅い(*2)日本で、世界中から参加者が来る大規模国際イベントを開催するのは危険だ」との発言、さらにまた ソフトバンクグループの孫会長も、メディアとのインタビューで「オリンピック開催を、日本だけでなく他の国々も恐れている」、東京オリンピックのスポンサーである“トヨタ”の永田准 執行役員も12日「現在 (日本の)保健状況をとりまき、国民の一部で出ている不満が、選手たちに向けられているという報道に、本当に心を痛めている」とし「スポンサーとして どうすればいいのか、思い悩んでいる」と語っています。

【参考】SB孫会長も 東京五輪を「懸念」…日本の財界で高まる「中止」の声
https://news.yahoo.co.jp/articles/f8bedea85f9edd85d1d8eeae95a395d39d3763f0)

オリンピックのスポンサー(*3)(*4)たる企業トップも、懸念を示しています。この懸念を表している人の視点に特徴があると思いますが、後半で言及したいと思います。

医療現場の実情、それは営業と開発の対立

オリンピック開催について、医療現場などでもクレームがあがっています。4月27日には、丸川五輪相「東京都の考えが全く聞こえてこない。非常に懸念している」などの発言が炎上したり、医療ボランティアの募集(*5)、6月4日には、新型コロナ対策分科会の尾身会長が「みんなで肩を組んで応援したいような気持ちを抑えることが期待されているのであれば、大会会場での『お祭り騒ぎ』のような雰囲気をテレビで見て、国民はどう思うか。国民の理解と共感を得ることが非常に重要で、組織委員会ができることはあると思う」と苦言を呈しています。感染防止の専門家(つまり感染拡大したら文句を言われる人たち)となんとか実施したい政治家の対立が明らかになっています。これって、開発と営業の対立と同じですよね。安値に走ってでも受注したい営業と無茶な開発は阻止したい開発、ま、実施したら開発(医療機関)は地獄のような目にあうのですが。なんで懲りないのでしょうか。まぁ、数字(経済効果)しか見ていないためかもしれません。
営業担当者G 「もっと安くならないの。この金額だと客に出せないです」
開発リーダーX「これでギリギリです。これ以上原価を下げると、要員を減らさないといけなくなります」
営業担当者G「だったら減らせばいいのでは。まず受注することが一番。営業の気持ちもわかってくださいよ。受注したら、後は予算内で開発メンバーをアサインすればいいじゃない」
開発リーダーX「いやいや、無理ですって。いろんなところに無理がきます。この金額では開発できませんよ」
課長Y「X君は、開発の責任者なんだから、できないなんていわず責任を持ってください」
営業担当者G「そう、課長がおっしゃっているように、責任を持ってちゃんと予算内での見積もりを作ってくださいよ。最終的にシステムが動けば、みんな感謝するんだから」

いつの間にか、責任を負わされている開発が、無残です。そして、無理な体制・要員で作られたシステムの品質も心配です。そして、オリンピックでは、無観客でストレスがたまる監視体制、いつ感染するかわからない状況でのスポーツイベント。どんな記録が出るのでしょう。やりゃいいってわけでもないと思うのですが。

さらに、6月7日には、菅総理大臣が「私自身は主催者(*6)ではない」との発言。そうなんですよね。オリンピックって、契約に基づいたイベントに過ぎないんです。

IT活用のオリンピック、というよりオリンピックのIT

開催の可否はおいておいて、やはりITのことについて語りたいと思います。オリンピックのシステム、ITのシステムは2002年のソルトレーク大会以降、フランスのアトス社(https://atos.net/ja/japan)が構築を担当しています。元請け、一次請けということですね。やはり、このような全世界をまたにかけるシステムとなると、日本の企業がプライムになるのは、まだ難しいようです。そのアトス社の依頼を受けて、一部システムをNECや富士通が構築しています。アトス社は日本であまり知られていないが、欧州ではトップ5に入る規模のグローバルITベンダーです。そして、NECや富士通は、ゴールドパートナーであり、2015年からトータル150億規模の投資を行っているらしいです。
NECでは、顔認証システムを推し、富士通はデータセンターなどのファシリティを担当するようです。

【参考】東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にNECの顔認証システムを納入
https://jpn.nec.com/ad/2020/op/face-recognition/index.html

また、内閣IT室が発注した健康管理アプリ(仮)の開発費が73億円というニュースもあります。
これって、オリンピック期間だけしか使用しないんですかね、だとするとかなりの使い捨てアプリになります。今後もうまく流用できればいいのですが。というか、見積もりは合っているんですかね、桁が違うと思うのですが、ちょっとした基幹システムを複数買えちゃう金額ですよ、これ。

【参考】開発費73億円で話題の“五輪アプリ”、機能は? 発注元の内閣IT室に聞く
(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/25/news079.html)

システム運用の観点からみると、オリンピックのシステムは内部向け、外部向けに分けて考えてみました。外部向けは、コンシューマ向けのチケット販売とか国内や国外メディア向けですね。

内部

  • ・競技/施設などの管理や監視
  • ・リソース(ボランティア)管理

外部

  • ・チケット予約
  • ・映像配信や結果配信

かなりざくっとした分け方ですが、システムの仕様はかなり大変な気がします。特に、権限関係。画像や映像などは、(たぶん)スポンサー契約など行った企業や国のみに配信などの制約が必要ですし、当然ながら配信した後に、(送信先で行うかもしれませんが)各国言語での翻訳なども行います。さらに、SLA(*7)。リアルタイムでの配信も求められる時代のため、バックアップというか切り替え体制も必要。要求される遅延も秒単位以下になると思います。インフラも二重三重にする必要がありそうです。関係エンジニアの方々、頑張ってください。そして、当然セキュリティも重要です。敵は世界各国のハッカーです。勝てるのかな。

世界から狙われる日本、新型コロナではないウィルス蔓延

セキュリティについては、「2012年のロンドン大会より前は、サイバー攻撃を受けたという記録はほとんど見られなかった。それが、ロンドン2012大会以降、各種記録でどのような攻撃があったのか確認できるようになりました。」との話があります。そして、2012年のロンドンオリンピック期間中、23億5,000万件のセキュリティイベントが発生したといわれています。

【参考】IPAサイバーセキュリティシンポジウム2014 オリバー・ホーア氏講演(https://www.ipa.go.jp/files/000039004.pdf)

怖いのは、セキュリティ攻撃を仕掛ける側は、物理的にかなり安全なソーシャルディスタンスを守っているが、受ける側は関係ないこと。つまり、今までの物理的な攻撃(デモ行進とかサボタージュなども含む)とは異なり、遠隔から攻撃が可能な点と、攻撃を仕掛ける個所が膨大になっていること。そう、IoTの進化により、(IT的な)接点となる端末がそこらじゅうに転がっています。スマホがないとワクチンの申し込みもできない社会です。そこらじゅうに監視カメラがありますし、車載ドライブレコーダーは必須になっています。これらのITな端末から侵入されたり、場合によっては端末自体を遠隔操作されてしまう。まさに、サイバー戦争、ニューノーマル時代のWorldWarです。コロナというかCovid-19ではなく、Emotet(*8)や新しいウィルスをまき散らされてしまうかもしれません。

ニューノーマル下でのオリンピック

さて、このコロナ禍でのオリンピック。いろいろな課題があります。ITで解決できるのもありますし、そもそもIT以前のものもあります。日本国内の課題もあります。だが、そもそもオリンピックって、グローバルなイベントの筆頭です。
そして、いま現在の実情、日本だけでなく世界の状況などを勘案する必要もあります。まさか、今回のオリンピックって参加者は日本のみ、ってことはないですよね。図表9-1によると、前回のリオオリンピックでは207国が参加です。参加アスリートは11,238人です。それ以外にもスタッフ・マスコミなどは確実に入国します。「おいでませ、日本。感染対策は万全です」といっても、各国が自国のアスリートや国民を出すかどうかは不明です。まず、出国先の空港をロックダウンされていた場合、出国できないですし、いや無理して歩いて隣の国に行き、隣国から空港という手もありますが、なんの脱出ゲームか、という話になります。さらに、日本に来ても、ワクチン接種率が低く、路上でマスクしていない人々がウヨウヨ。座って路上飲みしている若者やおっさん。なんの、バイオハザードかよ。このうようよモブ(*9)、やっていいの? 駄目です。ゲームと違って、頭を射撃したら、殺人罪に問われます。不要不急でなければ、行きたくない国です。

図表9-1 「オリンピック大会参加の国数・選手数の推移」社会実情データ図録から

さらに、バブル方式(*10)で隔離する、といいてもアスリートならともかく、スタッフ・メディア関係者まで完全隔離は難しい。そもそも誰がメディア関係者かわからんでしょう。こっそり入国する観客なんかもいるかもしれません。それらの方々は、バブルの外側にいるのですから、バブル方式は無関係で、バブル外で感染リスクを高めています。

前回の東京オリンピックというオールド体験

6月9日に、菅総理と野党党首による「党首討論」が行われました。そのなかで、面白い発言があります。菅総理曰く「当時、高校生でしたけど、いまだに鮮明に記憶している。…東洋の魔女が云々」だから、オリンピックを開催したい、その感動や記憶を国民にも持ってもらいたい、という意味だと思います。そして、いろいろな方々(特に非高齢者)が語っていることですが、前回の東京オリンピックを経験・体験している老人が「あの体験を今回も」と考えているケースが多いらしいです。「あの頃も終戦直後で大変だったが、なんとか開催できた。だから今回も頑張ればできるし、みんな感動する!」 しかし、この発想って、「この馬で万馬券を取ったから、今回も大丈夫」とかの発想ですよね。頑張ればできる、感動するといっても、たぶん過去の出来事のため、プラス補正も入っていますし。また、本当に時代や技術が違います。非常にオールドノーマルな考え方ですし、非ロジカルでエモさ(*11)のみを追求しています。IT屋さんとしては、もっと論理的に訴えてほしい気がします。それに、いまの時代は、多種多様な価値観がある時代。過去の感動体験の再来よりは、新しい体験や感動を目指してほしいところです。昔のやり方に拘って、とんでもシステムを作ってしまうことも多々あることですから。

日本の動向と世界の要望、リビドーだけでは駄目

前段でトップ企業の懸念を書きましたが、世界という視点で見ると、「各国間での人流」や「各国の関係者が物理的に集合することによる変異株の機会発生」などはかなりのリスクです。
日本のメディアは、国内で開催できるかどうかの情報をメインに発出していますが、参加予定各国が本当に「参加」できるのか、グローバルなイベントとして成り立つのか(*12)も重要なことかと思います。「開催できる、できない」だけ騒いでいるのは、相手もいないのに初エッチで妄想している痛いDTと同じ。「エッチできる、できない」ではなく、まず相手の有無ですよね。 このままこじらせていくと、やがて魔法使い(*13)、ではなく賢者や魔道師まで出世するかもしれません。そしてそれら魔道士の国家、いやいや惑うだけの国に一直線です。
グローバルなイベントなのですから、しっかり世界各国を見渡しましょう。まず、日本に来てくれるのでしょうか、各国のアスリートは(*14)。IOCからは、開催国の免責条項(*15)が出されたので、ハイブリッドな変異株に感染しても、アスリートの自己責任なのですが。 そして、IT屋さんとしては、やはり議論は、ロジカルに。ヤリたいという思春期のリビドーを語るだけでなく、しっかり論理的な意見で開催反対派を突き崩してほしいところです。いまのままでは、老人の過去妄想としか思えないのですよ。
では良き眠りを(合掌)。

「もう走れないほど練習しても、 一晩寝ると不思議と走れてしまう」by 高橋尚子

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*1 「北京の冬」といえば、ドラマ「警部補古畑任三郎」(1994年~)のピアノ・レッスンで登場した曲です。トリックのキーとなる曲です。そういえば、古畑役の田村正和さんが2021年4月3日に亡くなりました。合掌。

*2 新型コロナウィルスワクチンの接種回数や実績などは、首相官邸HPで確認できます。(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html) また、6月6日時点での接種率は、世界平均が11.68%で日本は10.24%(*12)らしいです。平均点以上は取りたいです。

*3 オリンピックのスポンサー契約は、正しくは4つに分けられます。一番上位のワールドワイドスポンサー契約は、コカ・コーラ、Airbnb(エアビーアンドビー、米、民泊)、アリババ(中国)、アトス(仏)、ブリヂストン、GE、ダウ・ケミカル(米)、GE、インテル、オメガ、パナソニック、P&G、サムソン、トヨタ、VISAが名を連ねています。その他の3つのスポンサー契約は、国内向けのスポンサープログラムになり、上から、ゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターとなります。

*4 オリンピック向けに製品やサービスを供給する場合、原則として、IOC(国際オリンピック委員会)や、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委員会)とスポンサー契約を結ぶ必要があります。これはシステム構築も例外ではなく、アトス社が「IT」カテゴリーで契約を結んでいるため、東京五輪に参加するほかのITベンダーは「IT」以外のカテゴリーで契約を結ぶことになります。富士通は「データセンター(データセンターにて、競技運営に必要なアプリケーションやデータを扱うためのサーバ、ストレージやサービスなどを提供)」、NECは「パブリックセーフティ先進製品(生体認証、行動検知・解析、ドローン)」、ネットワーク製品(SDN、有線ネットワーク、無線ネットワーク)、業務用無線システムでスポンサーカテゴリ契約を締結。 さらに、トヨタが「モビリティ」、パナソニックが「音響・映像機器、AV記録メディアなど」、ブリヂストンが「タイヤ、免震ゴム、自転車(電動・モーターアシスト除く)」。パナソニックは2020東京大会については「パソコン」でのカテゴリー契約も結んでいる。また、韓国のサムスンは「無線通信機器」、中国のアリババは「クラウド、EC(電子商取引)」のカテゴリーで契約を結んでいます。 【参考/引用】東京五輪のITシステム、開発者が明かすその全貌
(https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/110200006/060800081/?P=3)

*5 医療ボランティアについては、日本整形外科学会が行ったアンケートによると、以下のような募集要項が示されていたらしい。

  • ・活動期間は3日間程度でも可能
  • ・1回当たりの活動時間は休憩を含めて9時間程度
  • ・謝礼金はなし
  • ・会場までの移動には原則、公共交通機関の利用。一定の交通費が支給
  • ・海外の選手やスタッフの診療は英語 など

【参考】NHKNewsWEB 2021年5月8日 「スポーツ医」の五輪ボランティア希望者 募集の半分以下に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210508/k10013018371000.html

*6 オリンピックの主催者は、IOC(国際オリンピック委員会)です。つまり、東京という場所で他国のイベントを実施するという形式なわけですね。いいビジネスになっていると思います。いろんなリソースはボランティアという名目で無料だし、各種の機器などはスポンサー契約でがっちり結んでいるので。 オリンピック開催における契約は、当事者は国際オリンピック委員会、他方の当事者は東京都、及び日本 オリンピック委員会と明記されています。日本政府は、この契約にタッチしていません。 【参考】開催都市契約
英語版 (https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/hostcitycontract-EN.pdf)
日本語版(https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/hostcitycontract-JP.pdf)

*7 オリンピックにおけるSLAとして、世界中の報道機関やメディアに0.5秒以内に結果データを送信する、というものがあるらしい。<>br(https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/110200006/060800081/?P=2

*8 Emotetは、2014年に初めて確認されたマルウェア。新型コロナ系のウィルスではありません。当初はオンラインバンキングのアカウント情報を窃取することを目的としたマルウェアとして報告されていましたが、最近では、主にEメールによる感染が報告され、一時期日本国内でも被害が拡大しました。特にメールの添付ファイルから感染することは多かったです。2021年2月19日に警察庁、総務省。ICT-ISACは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を通じてEmotetに感染した端末の利用者に対して注意喚起しています。(https://www.npa.go.jp/cyber/pdf/210219emotet-attention.pdf
追記:2021年1月27日、EUROPOL(欧州刑事警察機構)が、欧米8カ国の法執行機関・司法当局の協力により、Emotetの攻撃基盤(ウイルスメールをばらまいたり、感染したマシンを操作するための機器等)をテイクダウンした(停止させた)と発表。さらに、JPCERT/CCのレポートによると、Emotetは、感染端末の時刻が2021年4月25日 12:00になると停止する機能が加えられた、無害化ファイルへと自動的に更新されており、2021年4月26日以降、日本におけるEmotetの感染はほぼ観測されなくなったらしい。(https://www.ipa.go.jp/security/announce/20191202.html#L15

*9 MOB、英語において、名詞または動詞として使われる。名詞として使われた場合の意味の一つは、暴徒、大衆、野次馬の群衆などであり、そのイメージは、指導者が存在しない、無秩序に集まった、騒がしい群衆(Wikiから)。また、固定名称を持たないモブキャラクターの意味で使われることも多い。その他大勢。

*10 バブル方式とは、選手・アスリートの宿泊地や競技会場を大きな泡で包むようにして外部と隔離するやり方。厳格な管理体制を布き、移動は専用バス、外部との接触は制限、毎日のRCP検査実施、入室時のミストシャワーなどの徹底した感染防止が敷かれる。ただし、期間が短期間ならともかく、長期間だと選手のストレスなんかも課題ですね。夜遊びするなら、自国に帰ってからにして欲しい。もしくは選手村というバブル内に「あっはーん」な店を用意するのだろうか、バブルなだけに。

*11 英語の「emotional(エモーショナル)」を由来とした、「感情が動かされた状態」、「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する日本のスラング(Wikiから)。基本、プラスイメージで使われます。反対語はロジカル?

*12 6月11日~13日に英国コーンウォールで対面開催されたG7コーンウォールサミットでは、ノーマスク、肘タッチ、ソーシャルディスタンス保持で行われたみたいです。老齢のエリザベス二世英女王をノーマスクでいいのか? と思いますが。警備員には、感染者が発生したという話もありますし。また、恥ずかしいことに、G7各国のワクチン接種率を比較しますと、日本は最下位で世界平均以下。呼べるの?日本。
ちなみに、G7の参加国は日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ。ロシアや中国は入っていませんね(*16)。
【参考】外務省 2021 G7コーンウォール・サミット(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page4_005342.html)
【参考】読売新聞オンライン:事前にワクチン、G7首脳マスクなし交流…エリザベス女王との懇談も
(https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20210612-OYT1I50124)
上記の読売新聞記事の写真(マスク無し、密接で高齢者集団)を見て、「密です!」と指摘する方が多数でると思われ。

*13 30歳まで童貞だと魔法使いになれるという都市伝説があります。同名のテレビドラマ(テレビ東京系「木ドラ25」枠)もあります。ドラマの原作「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は、全国書店員が選んだおすすめBLコミック2019の1位も獲得していています。

*14 6月1日に、ソフトボール女子のオーストラリア代表が来日、キャンプ地である群馬県太田市に入りました。さらに、6月19日には、来日したウガンダ選手団(ワクチン接種済)に陽性者が発覚。選手団全員が濃厚接触者となりました。どう対応・対処するのでしょうか。

*15 国際オリンピック委員会(IOC)のラナ・ハダッド最高執行責任者が、5月27日に、東京五輪に参加する選手らに対し、大会期間中に新型コロナウイルスに感染した場合も主催者は免責されるとの同意書に署名してもらう意向を明らかにした。「感染しないと保証できる政府や保健当局はない。私たち全員が抱えるリスクだ」と述べ、感染は参加者の自己責任だとの考えを強調した。いいね、システム開発でも、このような免責条項を加えたら楽なのに。

*16 G7は、1998年にロシアが加わりましたが、2014年に同国がウクライナに侵攻すると外れました。

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筆者紹介

司馬紅太郎(しば こうたろう)
大手IT会社に所属するPM兼SE兼何でも屋。趣味で執筆も行う。
代表作は「空想プロジェクトマネジメント読本」(技術評論社、2005年)、「ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎メディアコンサルティング、2009年)など。2019年発売した「IT業界の病理学」(技術評論社)は2019年11月にAmazonでカテゴリー別ランキング3部門1位、総合150位まで獲得した迷書。

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