インシデント管理について、2回に渡り、ご紹介いたします。
インシデントとは何か?
ITILにおけるインシデント管理とは、ユーザがITを利用して業務(ビジネス)を遂行できない状態を、いかに早く解決し、業務を続けることを支援するプロセスです。
「インシデント」とは何でしょうか。
担当者によって、システムトラブル、問題点、不具合など、定義が異なることも多いのではないでしょうか。
ITILを活用することの本質のひとつとして、こういった「言葉の定義の共有」も重要な要素と考えるべきです。
システム運用の担当者が行う、ミーティングやコミュニケーションの中で、ひとつのキーワードが同じ意味として捉えられていないと、実際の活動を行っていく際に思わぬ問題をきたすことになります。
ITILにおけるインシデントの定義は以下に記述しましたが、これを具体的に言うと、ユーザがITサービスを使えるべき時間に使えない状態を「インシデント」と言うことになります。
これは、通常のシステム障害や問題の発生だけでなく、パフォーマンスの悪化、ユーザによるパスワード忘れや、バッチジョブの進捗状況の確認作業といった内容もインシデントとなります。
こういったインシデントに関する問い合わせは、ユーザからIT部門への一元的窓口として定義されているサービスデスク(今後紹介)を経由して届き、インシデント解決に向けての活動を行います。
システム運用の活動が、従来のシステム運用管理としての「コンピュータ・IT環境自体の維持、管理」を行うことから、「ITを利用するユーザに対するサービスの提供」に変わってきたといえます。
インシデント管理における活動のポイント
インシデントを管理することは、品質の高いITサービスを提供するためには必要不可欠の要素といえます。
ITILによる、インシデント管理のプロセスは以下の項目、フロー(図1を参照)で実施することが記述されています。
インシデント管理の目的は、ユーザにおけるIT利用の可用性を高めることです。
その活動は、ユーザからの問い合わせに対して迅速に、解決策、あるいはワークアラウンド(回避策)を提示し、IT利用によるビジネスの停滞を最小限に抑えることになります。
インシデント管理のプロセスと活動のポイントは、以下のとおりです。
図1 インシデント管理プロセスと課題
次回は、「インシデント管理」の問題点、メリットについてご紹介します。
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筆者紹介
運用コンサルテイングチーム 藤原達哉
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