概要
各企業におけるメンタルヘルスの取り組みはここ数年かなり熱心になっているように思います。その背景には、うつなどの心の病気で仕事を離れる、もしくは会社を去って行くといった従業員の数が増加しているからでしょう。多くの企業でメンタルヘルスに対する取り組みが熱心になっている一方で、依然として心の病気にかかる従業員の数が減らないという状態が続いています。その理由としてはいろいろなことが絡んでいると考えられますが、今月からの連載では、メンタルヘルスの現状と課題、その対策について紹介いたします。
- 頑張れ、と励ます。
- もっと気軽に考えろ、となぐさめる。
- 根性で乗り切れ、と叱咤激励する。
- こんなことで将来どうするんだ、と動機づけようとする。
健康なときには、これらを言われても一向に問題はないでしょうが、うつになっているときには、頑張りすぎて身動きが取れない状態になっている人を追い詰めるだけです。ですから、前回紹介したような姿勢で『聴く』ということが大切になります。私には充分に理解できないかもしれないが、話しを聞かせてもらいたいという真剣な姿勢です。このとき、心の内を聴いていくという姿勢が大切です。その上で、医師の診察を勧めて、(本人が心療内科もしくは精神科の受診を望まない場合には、まずは身体の不調を診てもらうために内科を利用する)医師の判断のもとで適切な対応を決めていくことが肝心です。
職場復帰については、厚生労働省から「職場復帰支援の流れ」が示されています。参考に下記引用しますが、是非「平成16年度 職場復帰支援の手引き」全体も参考にして戴きたいと思います。
メンタルヘルス上の問題が起きても、きちんと会社として取り組んで支援してもらえるということが分かっていれば、心の病気になってしまった本人だけでなく、それ以外の人たちにとっても安心して働ける会社であるという認識につながると思われます。
◆職場復帰支援の流れ 厚生労働省 平成16年度 職場復帰支援の手引きより
次回は、安心して働ける健康度の高い職場づくりについて紹介します。
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筆者紹介
伊藤 弘子(いとう ひろこ)
1986年株式会社ビジネスコンサルタント入社。営業職を経て、コンサルタント部門へ移籍。メンタルヘルストレーニング、セルフエスティーム向上トレーニング、モチベーションの高いチーム・部下を支援するマネジャー研修に力を注いでいる。
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