前回は、使用許諾契約の確認点について述べさせていただきましたが、今回は請負契約と委託契約における確認点を記載いたします。
まずは、請負契約と委託契約の違いを述べます。
請負契約は、仕事の完成を目的とするもので、委託契約は特定の業務の処理を目的とします。そのため、請負契約では、受注者が仕事の方法や仕方の細かい指示を受けずに、成果物にのみ責任を持ちます。委託契約では、受注社は、仕事の指示も時間も場所も指示をうけ、指示通りに業務をこなすことになります。
契約締結においては以下の点に注意する必要があるでしょう。
<請負契約>
成果物:契約の目的物ですので、確実な表記が必要です。
成果物の権利関係:著作権、所有権、工業所有権等様々な権利関係を記載します。特に工業所有権の設定は、最近傾向が変わりつつあります。
成果物の瑕疵担保(無償保証期間):民法上は瑕疵担保期間として1年間が標準です。
中間生成物の取扱い:契約が中途解約になった場合、または検査合格できなかった場合等のケースが、最近見受けられます。これらの場合は、中間生成物としての対処になります。
秘密保持:テストデータ等を含む、契約履行に伴い、知りえた個人データや企業の固有データ等の情報の取扱いを規定します。
<委託契約>
業務指示者:委託契約は業務の処理を目的とします。そのため、業務の指示者を明確にしておく必要があります。
秘密保持:上述のとおり。
双方の契約において、当然のことながら、金銭債権債務関係の発生とその終了時期は明確にしておく必要があります。
特に最近の契約においては、個人情報保護法の施行に伴い、秘密保持は入念なチェックが必要です。
最近は、コンプライアンスの観点から、事細かに契約内容を設定するようになりました。そのため、契約書が分厚くなる傾向にあります。
契約内容は、契約当事者のコンプライアンスプログラムに照らし合わせて、締結する必要があります。
最近の傾向や契約当事者の立場別に色々な主張があるため、最近は契約締結までに、非常に時間がかかっているのが現実かと思います。
その弊害として、先行で業務に着手しなければならないケースが発生しているのも、注意する必要があるでしょう。
請負契約、委託契約の傾向については、次回に述べさせていただきます。
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筆者紹介
総務部 西別府好美
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