システム管理者のためのBookCafe

Vol.16 今日の一冊:ITエンジニアのためのビジネスアナリシス

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
SUZU’s Review

今あなたの仕事は本当に役に立っていますか?ITエンジニアが忘れてしまいがちな、最も重要な視点。

 

昨今ビジネスでのITの重要性が高まる中、ITエンジニアにもより多くのビジネス貢献が求められるようになっています。システムの設計に関しては卓越していても、それがビジネスでどのように活用されているか、どういった成果を生み出しているかまで意識が及ばない中で要件定義をしているITエンジニアもまだまだ数多くいるのではないでしょうか。

 

本書ではビジネスとITの整合性をどのようにとるかという点から着想し、ビジネス上の目標を如何に達成するか、そのためには何をしなくてはいけないのかといった目標達成に向けたロジックの構築について詳細に述べられています。入門者にもわかりやすく、ビジネスルールやビジネスアナリシスの概念と実践方法を体系的に説明しています。自分の仕事がタスクになってしまい、本当に目標達成に向けた活動になっているか不安な方。より自身の業務で成果を得たい方。ITエンジニアだけでなく、目標達成の為の戦略的思考を学びたい人におすすめする一冊です。

 

内容紹介

「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」

著/ロナルド・G・ロス、グラディス・S・W・ラム 監訳/宗雅彦 訳/渡部洋子

“ビジネスルールの父”による実践に即した決定版的教科書。ビジネスアナリシスを推進する国際組織IIBA(International Institute of Business Analysis)が推薦する最新のテキスト。

 

SUZU’s Review

・スコープを特定する
ビジネスとの整合性を得るためには、6種類の基本的な質問に答えることが重要となる。「When(いつ)」、「Where(どこで)」、「Who(誰が)」、「What(何を)」、「Why(なぜ)」、「How(どうやって)」である。これに答えることで、全体像の把握が可能となる。

 

・戦略を立案する

ビジネスの戦略とはどのようにして勝つかを知る為のものである。戦略には構造があり、目的と手段の構造がリンクし整理されることで、非常に理解しやすいものとなる。目的に対して設定した手段の整合性がとれているほど、説明が容易となりビジネスにおけるモチベーションを確保することが可能となる。一方で、目的に対して手段がリンクしていない状況は、モチベーションのギャップを生み、そのままの状態では目標達成は困難となる。


・コンフリクトを解決する

戦略を立てる上では、目的、手段の他に想定されるリスクとそれに対応する手段、さらにその手段を実現するためのポリシーを定義するといったドリルダウンを行うことで戦略を具現化していく。ドリルダウンを進めていくと、目的からドリルダウンされた目標同士のコンフリクト(衝突)が発生する。例えば、顧客に最高水準のサービスを提供する上で、「品質」や「コスト」にそれぞれ目標を定義した場合、ドリルダウンしていくとどちらかを達成するためには、もう一方の目標が不可能になる場合がある。その場合、ある一定の価格の範囲で品質を担保するといったような、「コスト」において『痛みに耐えうる限界値』を設定することで、トレードオフを最適化してリスクを受容していく。


・リスクを階層化する

トレードオフを最適化する為には、ビジネスリスクへの対応基準が必要になることが多い。適切なビジネスポリシーで痛みに耐えうる限界値に個別選択的に対応することが可能になる。例えば1000万円以上の支出を生み出すリスクは受容できないリスクとして、「コスト」の目標を優先させる。しかし、10万円以下の支出は「品質」の目標を優先させる。このように受容できるリスクと優先度を設けることでトレードオフを最適化していく。


本書で述べられていることを基に例を挙げさせていただきましたが、目標に到達するまでに何をしていいか分からない状態から、やるべきことを定義してリスクを考慮した上で解決を図るという思考法はITだけでなく様々なことに応用が可能であると感じます。最後に文中で述べられていた印象的なメッセージを記載します。

 

『how』を知る者はいつでも職を得ることができる。『why』を知る者はいつでもその上司になる。

 

皆様もITを活用してより成果を得る為に、手に取ってみてはいかがでしょうか。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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