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DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が流行っています。2020年流行語大賞の有力候補とも言われていますが、本当の意味を知らずに使っている人も多いのではないかと思います。
(むしろ、既にバズワード化され、その意味を失っていると言えるかもしれません。)
今回、ご紹介するのは「アフターデジタル」という本です。中国の二大IT企業であるアリババとテンセントの事例をもとに、デジタル化が現時点で極限まで進んだ世界がどうなっているかを、紹介しています。
ひと昔前は、中国は人件費の安い世界の工場というイメージがありましたが、最近の急激なIT化により、その影は微塵もありません。
むしろ、アメリカと並んだ世界のIT大国であり、日本も学ぶべきことが多いと本書では書かれています。
DXという言葉の本当の意味が理解できない、腹落ちしないという方は、本書を読んで、DXが起きた世界はどうなっているかを知ってみるのはいかがでしょうか?
内容紹介
藤井 保文 尾原 和啓 著
DAI’s Review
「OMO」という言葉をご存じでしょうか?Online Merges with Offlineの略で、日本語に直訳すると「オンラインとオフラインの融合する」という意味です。
日本では現在DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が流行っています。しかし、その意味は今まで「アナログで行われていたことをデジタル化する」という意味で使われていたり、「デジタル化することで、効率化する」という意味で使われていたりします。
例① :紙での管理をデータでの管理に変える ⇒ コスト削減
例② :データを分析して潜在化している課題を掘り出す ⇒ 新たな価値を生み出す
このような意味で使われるDXが正しいかどうかはここでは触れませんが、上記の例で1つ言えることは、「オフラインで行われていたことをオンライン化している」ことです。あくまでビジネスの軸はオフラインで考えられています。
日本における戦後からの段階を踏んだ右肩上がりの経済成長では、ITが浸透する前から、ビジネスモデルが確立されており、オフラインをオンライン化するという考えは至極当然のことです。
一方「リープフロッグ」という言葉はご存じでしょうか?日本語に直訳すると蛙飛び・跳び蛙となりますが、ビジネスの世界では、急激な経済や技術の発展に伴って、日本のように段階を踏んでビジネスモデルが変わっていくのではなく、急激にビジネスが発展することを指します。
今まで家庭での固定電話すら普及していなかったのに、携帯電話(フィーチャーフォン)を飛び越して、いきなりスマートフォンが普及する状況です。
このような世界ではDXという概念すらなく、オンライン・デジタルが当たり前で、逆にオンラインにオフラインの世界がマージされていくとされています。
※本書ではアリババの「フーマー」や「ジーマ信用」の事例が紹介されています。
フーマーというビジネスではECサイトで購入した様々な商品(生鮮食品を含む)を30分後に実店舗に取りに行く。実店舗でも様々な商品が見事に紹介され、ここでも購買が進む。EC、実店舗での購入データが蓄積され、顧客ごとにサービスの紹介が届く。
ECサイトだけでなく、実店舗もあるため、在庫や物流のコストも削減されるという完全にオフラインがオンラインに取り込まれたビジネスモデルです。
古き良き時代がなく、目の前に突如現れたオンラインの世界。日本では体感することは不可能かもしれませんが、1990年代以降、日本で流行ったSF漫画の世界観に近いかもしれませんね。
日本ではOMOという世界観は賛否両論かもしれませんが、いずれは日本でも起こりうるかもしれませんし、起きないと世界に取り残されてしまうかもしれませんね。
※日本企業はアメリカのGAFAMや中国のテンセント・アリババ・バイドゥという企業は生まれないかもしれません。
日本でOMOが起きるとすれば、どのような形になるかを記載した「アフターデジタル2」という本も出版されています。
興味のある方は、ぜひそちらもご覧ください。
連載一覧
筆者紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。
この本を読んだことがある方、読まれた方のご感想もお待ちしております!(⇒ぜひ、コメント欄にコメントをお寄せください☆)
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