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Vol.131 とにかく仕組み化

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
SEI’s Review

小説だけでなく、昨今はビジネス書でも導入部で心を掴むものが増えています。本書の導入は以下となります。
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組織の中で、「替えの利かない人」は、今の位置にとどまる。
「歯車として機能する人」は人の上に立てる。
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強烈なメッセージじゃないですか。若いビジネスパーソンであれば「会社のいち歯車になんてなりたくない、個性で勝負がしたい」と思うはずです。
個人的にはこういった「常識を疑え」的なフレーズが好きだったため、思わず読み返して、ページをめくる手を止めて意味を考えてしまいました。答えは、その後の文章を読むことで明らかになります。

ヒントはタイトルでもある「仕組み化」です。気なった人は是非本書を手に取ってみてください。

 

内容紹介

 

 

とにかく仕組み化

安藤 広大
 

3000社が導入し、いま話題のマネジメント法「識学」。人の上に立つために重要なことは、何事も「仕組み」で解決する姿勢だ。失敗が起こったり会社の目標が未達だったときに、「とにかく仕組み化」という口グセに立ち返り、ルールによって問題解決をはかる方法を教えます。

ダイヤモンド社 紹介ページ)

 

SEI’s Review

まず、本書のターゲットですが、リーダー、マネージャーといったマネジメントを手掛ける人、そう「人の上に立つべき人」におすすめとなります。そういう意味では経営層の方々も対象になるかもしれません。

さて、「とにかく仕組み化」というタイトルを見たときの印象は、マニュアルやガイドライン、または体制といった、「新たな発想を得る」とは真逆の「A社やB社のようなガチガチのルールを作りましょう」といった内容を想像していました。しかし、実態は全く違う視点の内容ですのでご安心ください。

会社には初めから企業理念があり、そこにポリシーやマニュアルといった全社員が従い、共通意識をもって仕事をしましょう、というルールがあります。それに従わない人は異分子となり、歯車になれない人となります。ルール通りに忠実に再現できる人は成長が早く、会社にも必要とされる人になります。納得がいかない人もいるかもしれませんが、会社が欲しているのはそういった人材です。
言葉を変えると、言うことを聞かない独自路線のアーティスト思考の人ではなく、会社全体の動きを円滑に回してくれる人が「歯車」と言えるかもしれません。
これはプレイヤーだけに向けたメッセージではなく、経営層やマネージャーの人はそれに応じた「仕組み」をしっかりと用意する必要がある、というのがポイントです。

1つ注意点があるのは、「ひとつの会社だけで機能する歯車になるのは危険」です。ひとつの会社に固執すると何とか自分のポジションを作ろうとしてしまい、無理くりにでも既得権益を生み出してしまいます。こうなると属人化が起こり、「替えが利かない人」を目指してしまいます。上で言う歯車とは別ものですよね。

この他にも本書には色々な「歯車」のメリットや「仕組み化」のポイントが記載されているのですが、私が最も好きなのは「本質的な怖い人」です。
ここでいう怖い人というのは「理不尽」「語気が強い」「顔が怖い」といった単純なものではなく、普段は穏やかで口調も優しいが、「仕事で求められる基準が高い」「中途半端な仕事では評価してくれない」「フィードバックが的確」といった人です。こういった上司のもとで働くと、「手を抜いたことを見抜かれる」「言い訳が通じない」「ルールを守らないと指摘される」という指導を受けます。これが「本質的な怖い人」です。
その代わり、部下はきちんとルールを守っている限り、何も言われることはありません。そして、いい仕事をして圧倒的な結果を出すと、正しい評価をしてくれます。厳しさと優しさは表裏一体。同じ怖い人なら、私は「本質的な怖い人」を選択します。これも仕組み化の1つです。

冒頭で「何かトラブルが起こったとき、それは人のせいではなく、仕組みが悪い」とあります。読み終えた後、改めてのこの言葉が本書のすべてであり、全てのビジネスパーソンが心に刻むべき言葉と感じました。これをベースに考えると心穏やかに物事をスムーズに考えやすくなります。
何かトラブルがあったとき、すぐに“その人”だけの原因を探り、“その人”向けの対策を考えてしまう人へ本書はおすすめの一冊となります。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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