医療DXで未来を変える:集患とデジタル活用

第2回 医療業界におけるWebマーケティングの基本と実践

概要

医療現場で注目されるデジタルトランスフォーメーション(DX)。この連載では、集患をはじめとした医療機関の課題をデジタルの力でどう解決していけるのかを探ります。医師でありWebマーケティングのプロでもある平川代表が、医療とデジタルが融合する新たな可能性を解説します。

目次
はじめに
SEO対策:検索結果上位表示の重要性
オウンドメディア運営のメリット
SNS活用による集患
Web広告の活用
まとめ

はじめに

Webマーケティングは、医療機関が効率的に患者を集患し、地域での認知度を高めるために欠かせない手法です。従来の紙媒体や口コミによる集患に比べ、デジタルマーケティングはターゲット層へ直接アプローチできる点が大きな特徴です。
今回は、SEO対策やオウンドメディア運営、SNS活用など、医療機関が実践しやすいWebマーケティング手法について解説します。

 

SEO対策:検索結果上位表示の重要性

医療機関がWebサイトを運営する際、SEO(検索エンジン最適化)は集患に直結する重要な要素です。Googleなどの検索エンジンで「地域名+診療科目」などのキーワード検索を行う患者は多く、検索結果の上位に表示されることで新規患者の獲得が期待できます。
SEOの基本施策として、以下の点が挙げられます。
● キーワード選定:患者が検索するキーワード(例:「渋谷 皮膚科」)を適切に選定し、サイト内のコンテンツに組み込む。
● コンテンツの充実:診療内容や症状別の解説記事を作成し、専門性の高い情報を提供する。
● 内部施策の最適化:適切な見出し構造(H1、H2タグ)、メタディスクリプションの設定、ページ表示速度の向上。
● 外部リンク対策:信頼性のあるサイトからの被リンク獲得による、ドメイン評価の向上。
SEOを継続的に強化することで、医療機関のサイトは検索結果で上位表示されやすくなり、安定した集患につながります。

 

オウンドメディア運営のメリット

オウンドメディア(自社運営のブログやコラム)は、SEO対策と連携することで大きな集患効果を生む手法です。医療機関が定期的に健康情報や診療科目に関する記事を発信することで、患者の関心を引き、信頼を獲得できます。
例えば、皮膚科であれば「アトピーの原因と対策」「花粉症の肌荒れ対策」といったテーマで記事を作成することで、検索ユーザーがサイトに訪れる機会が増えます。さらに、記事内に「オンライン予約」や「診療メニュー」のリンクを配置することで、来院につながる導線を作ることが可能です。
オウンドメディアの運営ポイントは以下の通りです。
● ターゲット層を明確にする:地域の患者層に合わせたコンテンツを作成。
● 定期的な更新を行う:検索エンジンは新しい情報を評価するため、一定の頻度で新規記事を投稿。
● 専門性と信頼性を重視する:医師監修の記事を掲載し、信頼性の高い情報発信を行う。

 

SNS活用による集患

SNS(ソーシャルメディア)は、医療機関のブランディングや患者とのコミュニケーションに有効なツールです。特に、InstagramやXを活用することで、視覚的な情報発信やリアルタイムな情報提供が可能となります。
医療機関におけるSNS活用例としては、以下のようなものがあります。
● 健康情報の発信:季節ごとの健康管理情報や簡単なセルフケアの紹介。
● 診療時間や予約状況の案内:リアルタイムで診療時間の変更や予約枠の空き状況を発信。
● 患者との双方向コミュニケーション:コメントやDMを活用し、患者の疑問に対応。
● ビジュアルコンテンツの活用:治療前後の変化や、クリニックの設備・雰囲気を写真や動画で紹介。
特に、若年層の患者はSNSを通じて情報を収集する傾向が強いため、ターゲット層に合わせた発信が重要です。

 

Web広告の活用

Webマーケティングを強化する手段として、リスティング広告(検索連動型広告)やSNS広告も有効です。特に、即効性のある施策として、以下の手法が考えられます。
● Google広告(リスティング広告):特定のキーワードで検索された際に上位表示させる。
● Facebook・Instagram広告:ターゲットを年齢や地域、興味関心で絞り込み、効率的に訴求。
● リターゲティング広告:一度サイトを訪れたユーザーに再訪問を促す。
広告運用には一定のコストがかかるものの、適切なターゲティングと予算管理を行うことで、集患の効果を高めることができます。

 

まとめ

医療機関におけるWebマーケティングは、SEO対策、オウンドメディア運営、SNS活用、Web広告など多岐にわたります。これらの手法を組み合わせることで、効果的な集患が可能となり、地域での認知度向上にも寄与します。
Webマーケティングの導入には継続的な取り組みが求められますが、適切な戦略を立てることで、医療機関の成長につながります。次回は、より具体的な集患施策について解説します。

 

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筆者紹介

平川拓実(ZOEN-TECH株式会社 代表取締役)

平川拓実(ZOEN-TECH株式会社 代表取締役)
医師として診療に携わる一方、Webマーケティングのプロとして医療機関や企業のWEBマーケティングを支援。2019年、医学部在学中に成果報酬型インターンを開始し、金融、教育、脱毛分野のメディアを立ち上げ黒字化を実現しました。SEOだけでなく広告運用やデザイン、LINEマーケティングを現場で学び、ZOEN-TECH株式会社を創業。現在は、集患やデジタル戦略の立案から実行まで幅広く活動し、医療とデジタルを融合した実践的な支援を行っています。

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