概要
「AWS Certified Cloud Practitioner(以下AWSクラウドプラクティショナー)」この試験の受験体験記(合格体験記)です。約4回に分けて、この「AWSクラウドプラクティショナー」の受験に関する体験記を掲載したいと思います。資格取得への道と言いながらも、しっかりと近道を通っています。長い道が正しいわけではありません。目的地につけば、それが正しい道なのです。なお、このコラムは2023年04月時点の情報に基づいて書かれています。試験の範囲や基準、試験方法などは変更される可能性があることはご注意ください。
また、読者の方で自分も受験体験/合格体験を公開したいという方がいらっしゃる場合ご連絡ください。全部書ければ可ですが、文章が書けない場合でもライターによるサポート有対応ができます。薄謝ありです。せっかくの唯一レアな受験体験をたくさんの人に共有しましょう。
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- 目次
- 前回の振り返り
- 今回のキモ
- 魔法の呪文「せぱうしこじ」
- ロケーションは押さえよう:リージョンAZ、そしてエッジ
- セキュリティはとりあえずココを絶対に押さえる
- テクニカル:ストレージで重要なタームと Lambda
- セキュリティで2番目に重要なもの
- クラウドの長所
- Auto Scalling は伸縮性
- セットで機械的に覚えるもの
- クラウド設計のベストプラクティス
- EC2のインスタンスサービス料金
- AWSで公開している入門ウェビナー
前回の振り返り
初回では、AWS認定資格の概要や種類、人気度を説明し、さらに受験の方法も説明しました。
前回は、AWS認定資格のなかの「AWSクラウドプラクティショナー」について、どのような試験かを説明しました。
難易度 | 2 | 選択問題のみ |
合格率度 | 4 | 高い |
学習容易度 | 4 | 1か月の学習で可 |
IT業界度 | 5 | AWS/クラウドバリバリです |
自慢度 | 3 | 人気があり、自慢できます |
さらに実際のターゲットの試験に絞り、何が出題されるのかなどを「試験ガイド」などを基に説明しました。
今回のキモ
さっそく「AWSクラウドプラクティショナー」を受験するにあたって、覚えたほうがよいターム/用語をピックアップします。前回にも説明しましたが、問題数は65問でスコアに影響するものは50問。範囲のなかで、マニアックな問題ばかり出題されることはありません。「これだけは知ってもらわないと」という問題は視点や観点を変えて、複数問出題されます。広く満遍なく覚えるのも手ですが、絶対に出題されると予想されるキー問題は100%押さえていくのが、合格する近道です。さらに、キーとなる用語を短い言葉(=テストに出題される)言葉のみで紐づけることも重要です。細かい正確な言葉よりも、出題されるキーな言葉で覚えることです。なので、「正確」とはいいきれない説明もあるかもしれません。そこはご容赦を。
魔法の呪文「せぱうしこじ」
「せぱうしこじ」って何でしょうか?
AWS認定試験で覚えないといけない言葉の頭文字です。
「AWS Well-Architected では、6つの柱 (優れた運用効率、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コストの最適化、持続可能性) に基づいて、お客様とパートナーがアーキテクチャを評価し、スケーラブルな設計を実装するための一貫したアプローチを提供しています」
つまり AWS Well-Architected(=簡単に言えばAWSを活用するためのメリット)の6つのキーワードです。
・セキュリティ
・パフォーマンス効率
・優れた運用効率
・信頼性
・コストの最適化
・持続可能性
です。そして、それぞれが、具体的に、どのように達成しているかをしっかり覚えれば問題ありません。
つまり、AWSを導入すれば「パフォーマンス効率」が上がり、それってこういうことなんだよね。ということです。まずは、「せぱうしこじ」と覚え、それぞれが何を意味しているかを覚えれば、試験対策として十分です。
ロケーションは押さえよう:リージョンAZ、そしてエッジ
「AWS にはリージョンという概念が存在します。これは、データセンターが集積されている世界中の物理的ロケーションのことです。また、論理的データセンターの各グループは、アベイラビリティーゾーンと呼ばれます。各 AWS リージョンは、1つの地理的エリアにある、最低 3 つの、それぞれが隔離され物理的にも分離された AZ によって構成されています。」
(https://aws.amazon.com/jp/about-aws/global-infrastructure/regions_az/ から)
なので、大きさは リージョン > AZ > データセンター です。
大きいのはリージョンです。複数のデータセンターでAZが構成、複数のAZでリージョンが構成されていることがキモです。
それとは別に、「エッジロケーション」があります。
AWSのエッジロケーションとは、AWSのリージョンデータセンターとは別にコンテンツ配信を高速・広帯域なネットワークを介して行うものです。ここからいくらでも深堀りはできますが、とりあえず「リージョン > AZ > データセンター」と「エッジ」を頭に叩き込めばなんとかなります。
さらに「エッジ」と関連して、「エッジ」は「AWS CloudFront」「AWS Route 53」「AWS Shield」「AWS WAF」で使用する、と覚えておきましょう。さらに関連して、「AWS Shield」=DDos対策、「AWS Route 53」=DNS、と関連づけて憶えてしまいましょう。ちなみに「AWS CloudFront」はグローバルな、配信を高速化するウェブサービスです。
セキュリティはとりあえずココを絶対に押さえる
AWSは「クラウドのセキュリティはAWSの最優先事項」と明言しています。そのため、このセキュリティについての重要な以下の図「責任共有モデル」を基にした問題は確実に出題されますし、複数問出題されます。
<図表 責任共有モデル>
https://aws.amazon.com/jp/compliance/shared-responsibility-model/
この手の試験対策で「実務」を云々するのは野暮ですし意味がありませんが、AWS導入や運用する上でも「どこまでがクラウドで行い」「どこからが自分たち(お客様)がやらなくてはいけないか」は重要です。もう一度言います「とても重要です」。
テクニカル:ストレージで重要なタームと Lambda
「第3分野 テクノロジー」は範囲も広く、出題される可能性もあるサービスも多いです。しかし全部覚える必要はなく合格に必要なものだけ、と割り切ればたいしたことはありません。最低限覚えるものだけ、しっかり覚えましょう。
まずは、「Amazon Simple Storage Service (S3)」
・容量無制限で高い耐久性を誇るオンラインストレージ
・99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性
ストレージクラスで覚えたいのは
- 「S3 Glacier」:長期バックアップとアーカイブ用。取り出しに時間
- 「S3 One Zone-IA(1ゾーンIA)」:消えてもOKなデータ
- 「Amazon Elastic Block Store (EBS)」:ミッションクリティカルアプリケーション用ブロックストレージ
ストレージクラスは6種類ありますが、特徴的なもののみに絞って覚えれば良いです。
そして、ついでに以下も覚えましょう。
・サーバレスな「AWS Lambda」:イベントをトリガーにコードを実行するコンピュートサービスで、プログラム実行時間で課金。
セキュリティで2番目に重要なもの
セキュリティをAWSは重視していると書きましたが、以下もセキュリティです。これもかなり頻繁に出題される重要なテーマになります。
「AWS IAM(AWS Identity and Access Management )」は認証認可のサービス | |
・ルートユーザー | 最初に自動的に作成、フルアクセス、基本的に使わない。 アクセスキーは作成しない。 MFAを有効化(多要素認証)しておく。 |
・IAMユーザー | IAMポリシーを使って制限(許可された操作)。 グループ化。 最少権限の原則。 |
・IAMロール | EC2やLambdaなどのリソースからAWSサービスを操作するときに被せる。 外部で認証されたユーザーに被せる(=シングルサインオン)。 別アカウントに提供。 |
「何言ってるのかわからん」という方も多いでしょう。理解より前に感じて覚えましょう。それっぽい言葉と結びつけるのが大事です。
クラウドの長所
AWSのクラウドコンピューティングの6つの特徴です。
(https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/whitepapers/latest/aws-overview/six-advantages-of-cloud-computing.html)
以下の6個も、必死に覚えて、かつ内容も理解しておきましょう。長所、つまりメリットです。AWSが最も知ってほしいことなのです。当然、受験者にもその知識を求めます。
・固定支出→変動支出
・スケールメリット
・キャパシティの予測不要
・速度と俊敏性の向上
・データセンターの運用保守費用が不要
・世界中に(=グローバルに)デプロイが即座に可能
補足です。「俊敏性」は、検証と開発にかかるコストと時間が大幅に減るため、組織の俊敏性も大幅に向上という意味です。また、「キャパシティ予測」は、必要に応じてわずか数分の手間でスケールアップまたはスケールダウンという意味です。この6つの長所については、どのような意味かも含めてしっかり憶えることが重要です。
Auto Scalling は伸縮性
さらに、Auto Scalling というサービスがあります。Amazon曰く「安定した予測可能なパフォーマンスを可能な限り低コストで維持するためにアプリケーションをモニタリングし、容量を自動で調整します」です。この Auto Scallingですが、信頼性を向上させるものではなく、「伸縮性」を実現するものです。
セットで機械的に覚えるもの
・Elastic Load Balancing (ELB): Application Load Balancer (ALB:アプリで柔軟)とNetwork Load Balancer(NLB:NWでTCP)
・AWSサポート:エンタープライズはテクニカルアカウントマネージャー(TAM)あり、AWS Trusted Advisor はエンタープライズとビジネスでの使用可。
・データ移行:AWS Snowball(コンテナでテラサイズ)とAWS Snowmobile (ペタサイズ/エクサ規模でセミトレーラートラック)。ついでにDB移行は Database Migration Service (DMS)。
・セキュリティ:AWS Inspector は事前で脆弱性評価(Inspectorは検査官の意味)、AWS GuadDuty はモニタリング。
・AWS Direct Connectは直接専用線接続、逆(インターネット経由)はAWS VPN。
参考書などではページ数を稼ぐためにいろいろと書いてありますが、最低限のキーワードを叩きこんでいれば、選択肢から選ぶことができますし、それで合格も可能です。
クラウド設計のベストプラクティス
「第1分野 クラウドのコンセプト」の範囲内になるのですが、この「クラウド設計のベストプラクティス」って、11こもあります。普通は全部覚えろなのですが、最小限知識主義から言いますと、全部覚えるのではなく以下だけは押さえましょう。
・コンポーネントを疎結合にする:疎結合だとスケールアップ(ダウン)が楽だし、耐障害性も高い
・単一障害点を排除する:「全てのモノは故障する」の発想
・コストを最適化する:リソースのON/OFFや使用頻度、マネージド化などでどれくらい安くできるか?モニタリングはどこまで?
・すべてのレイヤーでセキュリティを確保する:「クラウドのセキュリティはAWSの最優先事項」
EC2のインスタンスサービス料金
AmazonEC2インスタンスの支払いには複数の方法があり、以下の4つを適切に組み合わせて選択する必要があります。4つなので、どれが高く、どれが安いか、どのようなパターンのときにどれを使用したらよいかを覚えればOKです。
オンデマンドインスタンス | 一般的。使った分だけ「秒単位」支払い。 |
リザーブドインスタンス | 長期間の使用を前提に割引。 |
スポットインスタンス | 空き資源を利用して安く提供。最も安いが中断の可能性あり。 |
Dedicated Hosts(専用ホスト) | 専用の物理サーバーを使用(高価) |
AWSで公開している入門ウェビナー
AWSはたくさんのWhitePaperや資料を公開しています。さらに、「AWS に関心のある非 IT 領域の方、学生」向けに「無料」でオンデマンドでいつでも見られるウェビナーも公開しています。
初心者向けクラウド入門ウェビナー Cloud Practitioner Essentials for Entry
(https://pages.awscloud.com/JAPAN-event-OE-Cloud-Practitioner-Essentials-for-Entry-2021-reg-event.html)
・モジュール 0:はじめに(4 分)
・モジュール1:ウェブサービス(34 分)
・モジュール2:AWS クラウドの紹介(35 分)
・モジュール3:コンピューティング(23 分)
・モジュール4:データベース(18 分)
・モジュール5:ネットワーク(24 分)
・モジュール6:セキュリティ(20 分)
・モジュール7:おわりに(5 分)
時間は約3時間です。「IT弱者だから受験ムリ」と逃げている方でも、とりあえず眺めて感覚をつかみましょう。
これとは別のハンズオン形式ですと、AWSをいじって使い方を学ぶものもあります。しかし、そんなことしても実務には繋がりますが合格には結びつきません。試験合格には反射的に回答できる知識が必要です。頭の奥底にAWS的な用語を叩き込みましょう。
今回のコラムはここまで。次回(最終回)に続く。
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