企業経営の中でますますシステム運用は重要視されています。システム運用は、激変するICT(情報通信技術)や社会環境の最中にありながらも、これからも、さらに生き続けていかなければなりません。しかし、周りの期待とは裏腹に、現状のシステム運用は日々の業務に追われ、システム運用の三原則(安定・安全・信頼)の役割を全うするだけで精一杯の状況にあります。2007年問題が抱えているさまざまな問題も、何ら解決されないまま時間が過ぎていっています。このような時期にあり、「システム運用の”人としくみ”」と題したレポートを定期的に掲載していくことにしました。予定しているレポートの各章別概略を以下にご説明いたします。(この内容は状況によって変わる場合がありますので、あらかじめご了承願います)
- システム運用とは何か
業務システムの開発では、つねにそのときの最新の技術を用いるのが一般的ですが、複数の業務システムを維持するシステム運用は、古い技術を用いた業務システムも超最新の技術を用いた業務システムも、それぞれ定められたサービスレベルを維持しながら、業務システムが廃棄されるまでは、一生、維持・管理していかなければなりません。企業がビジネスを行う上でコンピュータが欠かせないものとなっている現状を踏まえ、そのコンピュータがどのような人たちによってどのように維持運営されているかをみていきます。
- これまでのシステム運用
これまでのシステム運用は、苦難と工夫によって築き上げられてきたいわば”芸術品”であるといえます。果てしない技術革新と社会から求められるさまざまなことにうまく適応させてきた”しくみ”が、いまここにあります。人間はここまで進化に適用できるものでしょうか。そのシステム運用の軌跡をたどってみます。
- 企業ビジネスとシステム運用
企業にとって、そのビジネスを創出するにはコンピュータが必要不可欠なものとなっています。コンピュータが道具(ツール)としてだけでなく、ビジネス戦略上の前提条件にもなっているのです。コンピュータシステムをうまく使いこなせない企業は、いまの世の中では生き残っていくことはできません。まさに、システム運用こそいまの時代を生き抜いていくための戦略的業務といえるでしょう。
- これからのシステム運用
もともとシステム運用は「安定性・安全性・信頼性」(これを運用の三原則といっています)をもっとも重視するものです。お互いの関連性を増さなければならない要件が出てきたとしても、このために何かのコンピュータシステムを変更・廃棄することなどとても困難なことです。「開発は一度、運用は一生」という言葉があります。システム運用はいつの時代においても困難な問題に直面しながらもそれらを解決し、また新たなシステム運用の姿をつくりだしていくものなのです。
- システム運用のマネジメント
システム運用は先にも述べたように2面性をもったしくみとその運営です。つまり、保守的な面と先進的な面の2面性です。しかし、とかく、現状の安定性・安全性・信頼性という保守的な面だけを重視しすぎる傾向にあり、改善・改革に代表されるような先進的な取り組みには消極的になりがちなものです。こうした2つの面をどのようにバランシングしていくか、システム運用をマネジメントしていく上でもっとも考慮しなければならないことの一つです。まさに、システム運用にとってのマネジメントの主体は、技術的な面よりも人的なものに焦点を当てなければならない性格のものだといえます。
次回は、「システム運用とは何か」について整理します。
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