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Vol.138 ITサービスマネジメント事例に学ぶ実践の秘訣

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
K’s Review

自分の担当しているサービスと親和性の高い知識、ノウハウを改めて学び、サービス提供のみならず、その分野の知識をお客様へ提供し、自分としての付加価値を高める為にこの本を手に取りました。

内容紹介

 
ITサービスマネジメント事例に学ぶ実践の秘訣
特定非営利活動法人 itSMF Japan(著)

Webサービスやスマートデバイスの普及に伴い、ITサービスマネジメントの重要性は日々高まり続けています。また、ITサービスを迅速に提供する目的のもと、“DevOps”といった開発と運用を融合するような視点からも注目を集めています。ITサービスマネジメントを学ぶ人口が年々増えており、その職種も多岐にわたるようになってきました。今後は、その学んだ知識をいかに実践し、現場に生かしていくかが求められています。

本書は、ITサービスマネジメントのフレームワークやベストプラクティスを、いかにして導入すればよいか、現場視点で解説した書籍です。実際の導入事例を通して、どのような点に注意し、どういったことに取り組めばよいか、読者の活動指針が得られる内容になっています。

翔泳社 紹介ページ)

 

K’s Review

 この本では、ITサービスマネジメント(以下、ITSM)にかかわる、実務に近しい知識、ナレッジについても学べますし、よりそれを具体的な事例を交えて、学べる一冊なので、全体を通して、ITSMをフレームワークだけで学ぶのではなく、実際の場面を想定して腹落ちさせられる本であると感じました。こういった本では、ITSMのフレームワークや理論だけ述べられているだけの本も多く、私もこれまでそういった本をいくつも見てきましたが、そういった机上だけの話だけでなく、実際の現場で発生する課題とその解決策について、詳しく解説しているので、ITSMに関係している業務担当者であれば、必ず役立つ情報が見つかると思います。また、実務に関わる人だけでなく、これからITSMを学びたい人にとっても、分かりやすい内容かつ有益な情報が載っているので、入門編としても、おススメです。

 本書の中でも特に印象に残ったのは、まとめ部分の「「ITサービスは動いて当たり前」のことと「当たり前でない」こととのギャップを埋めるため、また「当たり前」のことを「当たり前」に実践していることを客観的に証明するための仕組みとして、ITSMサービスやITILの考え方は非常に役立つもの」という点が私自身の業務を通して、顧客へ伝えるべきことだと実感しました。

 また、事例ごとに失敗の削減や成功に至るまでの試行錯誤が具体的に説明されている点も、この本の魅力の一つだと感じました。そういった事例の中で、優れたフレームワークや理論があっても、それを現場に適用する際には、実際に働く人々の意見や業務プロセスを無視しては成功に導けないということを学んだ気がします。

 さらに、この本ではITSMを成功させるためのポイントとして、コミュニケーションの重要性が強調されていた点も印象的でした。実際のITサービス運用の現場では、技術者と利用者の間で認識のズレが起こりやすく、それがサービスの質の低下やトラブルの原因になることが多いという点を改めて、意識することが出来る内容でしたので、そういった点を自分の業務にも活用することに役立てたいと思います。

 最後に総括的な感想としては、ITSMの本質は「技術・プロセス・人」の三つの要素が適切なバランスを保っていくという点が、最も重要なことであることを理解した一冊でした。また、他のITSMを説いた書物とは違った毛色の本となっていて、面白みが多い本であるので、読み進めるのがあっという間だったという印象を持った一冊でした。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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