顧客接点改革の重要性~企業が顧客との関係を構築するためのポイント~

第1回 コールセンターからコンタクトセンターへ、オムニチャネル対応になる顧客接点

概要

顧客接点改革はビジネス成功のために欠かせない要素です。これは、顧客との全ての接触点で優れた体験を提供することです。デジタル化が進む昨今、オフラインだけでなくオンライン上での接点も重視されます。独自の価値提供や顧客満足度向上を通じて顧客ロイヤルティを高めることが可能です。これは、新規顧客の獲得にも直結します。顧客と深くつながりビジネスの持続可能な成長を実現するための顧客接点改革について、いくつかの場面で解説していきます。

昔から存在するコールセンターは名前の通り電話応対しかありませんでした。しかし現在、お客様と企業の接点は電話だけではなく様々なチャネルでマルチチャネル/オムニチャネル化しています。お客様と企業の接点であるコンタクトセンターについて解説していくとともに、将来のコンタクトセンター像についてもご紹介します。

目次
コールセンターからコンタクトセンターへ
現在のコンタクトセンターに求められる役割
これからも進化するコンタクトセンター
まとめ

コールセンターからコンタクトセンターへ

元々、コールセンターは電話での顧客対応を主に行っていましたが、インターネットの普及により対応チャネルは電話だけでなくメール、SNS、SMS、Webチャット、DM、ビデオ通話など多岐に渡るようになりました。
このような変化に対応し、これら多様なコミュニケーションツールを使用した顧客サービスを行うセンターを「コンタクトセンター」と呼ぶようになりました。しかし、企業によっては電話対応以外も行うコールセンターも存在し、マルチチャネル化していても「コールセンター」と呼んでいるケースも存在しています。

現在のコンタクトセンターに求められる役割

コンタクトセンターの期待される役割は、顧客の多様なニーズに対応することです。インターネットとスマートフォンの普及により、顧客はいつでもどこでも情報を得たいと望んでいます。また、電話ではなくチャットで対話したい、後で非同期に回答を得たい、代わりにWeb操作をしてほしいなど、さまざまなニーズが生まれています。これに対応するためには、マルチチャネルの存在を認識し、一定品質の対応が必要であり、オムニチャネルへの対応も求められます。オムニチャネルとは、どのチャネルでも平等なサービスが得られる仕組みのことです。顧客が最も利用しやすいチャネルで対応することで、顧客満足度(CX)を向上させることがコンタクトセンターの役割です。

これからも進化するコンタクトセンター

コンタクトセンターが今後進化するためには、オムニチャネル対応とパーソナライズされたサービスを提供する仕組みが必要です。それを達成するためには、顧客の動向や感情を分析し、それに基づいたカスタマージャーニーマップを作成することが重要です。闇雲に全てのチャネルを用意するのではなく、顧客が真に求めているチャネルを見極め、それに対応するのが理想的です。これを実現するために、専門のコンサルティングサービスの助けを借りることも有効です。
今後は顧客が問い合わせる前に悩みや興味を事前に把握し、期待に応える対応を提供することが求められます。これは様々なチャネルでの顧客の行動情報収集の技術によって実現され、未来のコンタクトセンターはよりパーソナライズされたサービスを提供する方向に進化していくでしょう。
さらに、Web3.0やメタバースへの対応も視野に入ってくると考えられます。例えば、メタバース内でのコンタクトセンターが機能し、顧客がリアルな企業担当者に相談しているかのような体験を提供する未来が想像されています。改定個人情報保護法やサードパーティクッキー規制を始めとする法規制への対応も進行中で、これらは進化を続けるコンタクトセンターの未来を形作る上でも大きな要素となるでしょう。

まとめ

コールセンターはかつて電話応対のみを行っていましたが、現在はメール、SNS、SMS、チャットなどのマルチチャネルで対応するコンタクトセンターへと進化しています。これらのチャネルでバラつきのない顧客が満足する品質の応対を提供するためにオムニチャネル化が必要であり、その実現のためにはITを活用したDX化が不可欠です。
ただし、これらを実現するためにはシステム導入だけではなく、顧客行動の分析やカスタマージャーニーマップの作成などを通じて適切なチャネルでの顧客接点の在り方を設計することが重要です。このようにしてお客様のニーズに合わせた仕組みを用意することで、顧客満足度(CX)を向上させることができます。その上で、CDP(Customer Data Platform)等を活用してお客様行動情報を統合的に収集・分析することで、より顧客ニーズに適した応対ができる仕組みが用意されると考えています。

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筆者紹介

梶野秀美
株式会社電通総研 Xイノベーション本部 デジタルエンゲージメントセンター

連結会計パッケージSTRAVISの立ち上げ時からマーケティング・アライアンスを担当し、現在は顧客接点DXソリューションのマーケティングを担当。
参考:顧客接点DX Webサイト
https://crm.dentsusoken.com/

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