顧客接点改革の重要性~企業が顧客との関係を構築するためのポイント~

第2回 フィールドサービスでのCRM活用がもたらす顧客接点改革

概要

顧客接点改革はビジネス成功のために欠かせない要素です。これは、顧客との全ての接触点で優れた体験を提供することです。デジタル化が進む昨今、オフラインだけでなくオンライン上での接点も重視されます。独自の価値提供や顧客満足度向上を通じて顧客ロイヤルティを高めることが可能です。これは、新規顧客の獲得にも直結します。顧客と深くつながりビジネスの持続可能な成長を実現するための顧客接点改革について、いくつかの場面で解説していきます。

昔から存在するフィールドサポート業務はどちらかというと受け身の顧客接点としてとらえられてきました。しかし、顧客要求の多様化・複雑化する市場において、事業成長や競合他社との差別化施策としてフィールドサービスにおける「顧客接点改革」を打ち出す企業が増えてきています。
本記事ではフィールドサービスでのCRM活用と顧客接点改革の関係性について解説します。

目次
フィールドサービスにおける現状の課題
フィールドサービス業務のDX化と顧客満足度向上とは?
フィールドサービスCRM導入による顧客接点改革
まとめ

フィールドサービスにおける現状の課題

フィールドサービスは様々な業界で重要性が増しており、対応範囲も多様化しています。しかし、日本の人口減少に伴う人手不足という課題があり、生産性向上や業務効率化が求められています。しかし、実際には対応が後手になり様々な問題が発生しています。

① トラブル対応のスピードが遅くなりがち
顧客からの依頼でフィールドサービスが必要になる場合、一般的にはコールセンターや営業部門が窓口となります。しかし、彼らがスキルやスケジュールをリアルタイムで把握しきれず、作業員の即時アサインが困難になることで、トラブル対応の遅延が発生しています。これは製品の症状悪化につながる可能性があり、対応時間の短縮が求められています。

② 問題が初回訪問後しか把握できず、再訪問の手間が生じてしまう
フィールドサービスでは、顧客からのトラブル対応依頼受付時には限定的な情報しか把握できず、初回訪問時にまで原因が明確化しないケースが多々あります。これが再訪問片手間や非効率を生む一因となります。その問題の解消は、初回解決率を上げることで顧客や業者にとっても有益となります。

③ 訪問の際に必要資料や部品などの荷物がかさばる
フィールドサービスの担当者は訪問の際に必要な資料や部品を携行しなければならず、多くの荷物を持ち運ぶこととなります。これが作業者の体力的負担や資料管理の困難を引き起こしています。従って、荷物の軽減や管理方法の最適化が求められています。

④ 日報の記録が不正確でタイムリーな状況把握ができない
フィールドサービスの作業内容は大抵、日報に記録されますが、担当者のスケジュールが詰まっていることで、日報作成が日々の業務終了後に置き去りにされがちです。これが結果として記述の正確さを損なう可能性があります。それ故に、全作業者が負担なく日報を正確に作成し、サービス改善に生かす体制を築くことが重要となります。

このような課題を解決するためにはフィールドサービス業務のDX化が必要だといえます。

 

フィールドサービス業務のDX化と顧客満足度向上とは?

デジタル技術を活用することでフィールドサービス領域の生産性向上や業務効率化が可能となります。具体的には、タブレット等のIT機器やCRMシステムの導入により、紙媒体の資料を持ち歩く手間が減り、顧客やフィールドサービス要員のリアルタイム情報が常に確認可能となります。それにより、部門間連携の向上や作業員の早期アサインが実現し、顧客満足度の向上につながると考えられます。これらによって生産性及び効率化が見込まれ、人手不足という課題も解決することができます。

フィールドサービスCRM導入による顧客接点改革

フィールドサービスの業務は近年、顧客との接点としての重要性が高まり、企業間競争の一環として位置づけられつつあります。企業は、顧客の要望に対応するだけでなく、そのフィードバックを製品開発に生かすことも重視しています。顧客が求める長期的な品質保証や安心感を提供するフィールドサービスの存在は、費用対効果の観点からも非常に重要です。迅速さだけでなく、高品質な業務サービスも求められる現代のフィールドサービス改革では、企業が最適なシステムや環境を導入しそれを使いこなすことが重要な課題となります。

 

まとめ

これまで「フィールドサービスでのCRM活用がもたらす顧客接点改革」と題しまして、ご説明してまいりました。近年、多くの企業では更なる事業成長・競合差別化へ「顧客接点改革」に向けた施策のひとつとして「進化したフィールドサービス」を掲げています。
自社の目的に見合うCRMシステム活用によるフィールドサービス業務の生産性向上&業務効率化と合わせて、更なる顧客満足度向上を目指しましょう。

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筆者紹介

梶野秀美
株式会社電通総研 Xイノベーション本部 デジタルエンゲージメントセンター

連結会計パッケージSTRAVISの立ち上げ時からマーケティング・アライアンスを担当し、現在は顧客接点DXソリューションのマーケティングを担当。
参考:顧客接点DX Webサイト
https://crm.dentsusoken.com/

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