システム管理者のためのBookCafe

Vol.29 サービス志向への変革 ~顧客価値創造を追求する情報ビジネスの新展開~

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

 

目次
内容紹介
NOBU-SAN’s Review
サービスの定義は広く、従来からある旅館・ホテルや観光などのおもてなし型の サービス、保守サービスのような製造業のサービス、コンサルティングなどの情報産業、知識産業のサービス、最近のインターネットを利用したサービスなど、様々なサービスが存在します。近年ではサービスサイエンスが議論され「サービス」の新しい捉え方を整理して、「サービス」という行為の本質に迫る動きがあります。
 

内容紹介

サービス志向への変革
顧客価値創造を追求する情報ビジネスの新展開
 
北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科小坂研究室 (著)
日立製作所横浜研究所サービスイノベーション研究グループ (著)
小坂 満隆 (編集)
 
「サービスや製品の価値は、それが利用されて初めて生まれる」
「サービスの価値は顧客との共同創造によって作られる」
 
あらゆるビジネスにおける「サービス」についての大きな思考の転換がおこっている。従来の製品中心のビジネスを、サービス志向に変えるだけではなく、それにもとづいて、組織マネジメントのあり方、人間にとっての価値の捉え方など多くの点を考え直す必要があることを取り上げている。
陸先端科学技術大学院大学の社会人教育コースでの研究実践と、それを情報システムビジネスへ適用した、日立製作所横浜研究所情報サービス研究センターの研究者による共同研究書。 

 

NOBU-SAN’s Review

【サービスとは何か?】
広辞苑で「サービス」と引くと、「奉仕、接待、商店での値引き、または客の便宜を図ること、物質的生産過程以外で機能する労働」と記されています。一般的なサービスに対する考え方は、サービスを製品と対比させ、製品は目に見え、手に触れることができる、いわゆる実態として価値を提供するものに対し、サービスは目に見えない、行為として価値を提供するものとされています。
 
しかし、近年のサービスは、工学、マーケティング、マネジメントなどあらゆる領域で議論されるほどで、インターネットで検索をすれば、サービスに関するシンポジウムや、国際学会も開催されています。欧米や日本のような先進国だけでなく、中国をはじめとするアジア各国も熱心に研究を行っています。
 
世界的なこうした動きの中で議論されている「サービス」の内容は、サービスを提供する側と顧客による価値の共創を中心としています。先の広辞苑に記されている「サービス」とは、質的に異なってきていると言えます。
 
【サービスは、人や組織の目的達成を支援する】
サービスについて研究されている文献や団体を調べていくと、故亀岡秋男教授(北陸先端科学技術大学院大学 (※以下JAIST) 識科学研究科教授)の著書「サービスサイエス」を参考にしている文献や研究レポートをよく見かけます。サービスの価値を議論する際に、亀岡氏のサービスの定義「サービスとは、人や組織がその目的を達成するために必要な活動を支援すること」がマッチするようです。
 
余談ですが、ITILやITサービスマネジメントの教本や実践資料に、温泉旅館のサービスを題材にしているものを多く見受けます。亀岡氏が在籍されていたJAISTが立地する石川県には、加賀、和倉、辰口など多くの老舗温泉旅館があることも関係しているのかも知れません。「プロの選ぶホテル・旅館100選」で常にトップの座にいる加賀屋も和倉温泉にあります。この加賀屋のおもてなしを実感するには、宿泊して体験していただくしかないのですが、加賀屋の会長、小田貞彦氏の記事はWEBや雑誌で見かけることできます。
 
小田氏の定義するサービスとは「プロの技術を提供して、お客様に満足していただき、それによる対価を頂く行為」としています。亀岡氏のサービス定義と合わせると、サービスとは「人や組織がその目的を達成するために必要な活動をプロの技術で支援し、目的達成によってお客様に価値をもたらして満足いただき、それによって対価を頂く行為」とすることができます。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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