システム管理者のキャリアアッププラン

第3回 株式会社菱食様の運用パーソン登場

概要

ITシステム運用の現場で実際に活躍されている方々にスポットを当てたコーナーです。

 大好評の新コーナー「運用パーソン登場!!」
第3回は、株式会社菱食の春日雅登氏に登場していただきます。
運用部門一筋で業務を担当され、現在は全社システム運用を統括する部門で業務カイゼンに邁進されている姿をご紹介いたします。(インタビュー担当:シスドックアドバイザー佐藤陽一)

 

お客様会社概要
名称 株式会社 菱食
設立年月日 大正14年3月13日
資本金 106億円
事業内容 加工食品卸売業を主業務として、冷凍・チルド類・肉、酒類・菓子、ペットフード他の販売。PB商品に「リリー」「白ゆり」ブランド。
HP http://www.ryoshoku.co.jp/
企業理念として「消費と生産を結ぶ価値あるかけ橋」を上げる株式会社菱食は、グループ全体として早くから情報システムを中核に置き、業務の効率化とローコスト化、経営体質の強化に取り組んでおられます。

 

その「新営業」「新物流」「新管理」の活動基盤を支えてきたのが、”使う人がつくる人、使う人が動かす人”=EUC(エンドユーザーコンピューティング)をコンセプトにした独自の基幹情報システムです。同システムは、日々発生する膨大なデータを処理すると同時に、全国各地の拠点やお取引先を有機的に結ぶサプライチェーン全体をカバーする企業間ネットワークを実現されています。

 

生活者の要望や市場の動向をいち早く商品調達、商品開発、消費者満足度の向上につなげる情報通信のプラットフォームを構築され、21世紀型最適流通を支えるとともに、戦略的情報システムとして、小売業・メーカーへ”サプライチェーンの共通課題”に対する改善提案を行うなど、各層のメリットを分かち合うことを目的に、ITを起点としたSCMを強力に推進されています。

 

 

そうしたビジネス環境を支える戦略機能部門(IT・ロジステックス)統括ITネットワーク本部IT統括室で、お仕事をされている春日雅登氏にお話を伺いました。
(インタビュー担当:シスドックアドバイザー佐藤陽一)
 

 

 

佐藤

 

IT業務歴、その中でも運用業務歴をお聞かせください。
春日氏
今年で入社17年目になります。ほとんど運用部門で仕事をしています。途中3年位、札幌の情報システム室でユーザサポートを担当しましたが、後はずっと運用ですね。
戦略機能部門
(IT・ロジステックス)
統括ITネットワーク本部
IT統括室
春日雅登氏
佐藤
異動が少ないほうですか。
春日氏
社内では少ないほうだと思います。でも、運用部門にいても毎年仕事の内容が変わりますので、飽きませんし楽しく仕事をやっていますよ。2006年からは、現在のIT統括室に異動になり運用管理を統括する仕事を担当しています。
佐藤
やりがいがある仕事のように見えますが、具体的にはどんなお仕事ですか。
春日氏
弊社はメインフレームが5台ありまして、一日あたり合計で60,000ジョブが稼動していますが、この基幹業務運用のカイゼンが中心の業務になります。あと、予算作成も重要な仕事です。
佐藤
大変なボリュームの業務をこなされていますね。
春日氏
この2,3年は、メインフレーム系の基幹業務の運用カイゼンが一番の仕事です。その中で、上司をうまく説得し、シスドックの契約を行い、アドバイスしていただきながら、障害の削減やスループット改善に取り組んでいます。
それから、弊社では従来メインフレームベンダからの情報収集が主でしたが、多くのベンダーの方から情報を沢山集めるようにパラダイムチェンジも図っています。
佐藤
障害削減は、運用部門にとって大きなテーマですが、どのように取り組んでいますか。
春日氏
まず、ITILの思想を取り入れたツールをメインフレームベンダから導入しました。この段階でシスドックサービスを利用し、手法や実施手順を相談しながら、インシデント管理/問題管理に取り組んでいます。アドバイスしていただいた点でよかったのは、インシデントの分類を見直したことですね。
佐藤
具体的にはどのような点ですか。
春日氏
障害の現状分析を先に実施し、分類してみたところ、お取引先とのEDI(企業間データ通信)で運用条件の確認もれで実際はデータがない予定のものを受信しにいってエラーになったものを障害に加えていたり、弊社側の回線やサーバのリソースが不足していたことが原因だったもの等で、すぐに対応できるものと本当の障害にきりわけました。
対応可能な、リソース不足については、ソフトウェアの入替え等の恒久的な対策を実施しましたし、運用条件の確認もれについては、お取引先との確認を徹底し、もれを無くすようにしました。 その結果絞られた障害について、対策をひとつひとつ実施するようにしています。
佐藤
現状分析、分類、対策の実施の流れは、業務カイゼンの基本スタイルですので、是非継続していただければと思います。
話は少しかわりますが、春日さんが仕事をするうえでの基本的なスタンスや考え方を教えてください。
春日氏
まず、「あきらめない」ことです。IT統括室で仕事をやるようになって感じることですが、一人でできないとき、チーム内でできないときは、必ず他チームに応援を求めるようにしています。昔は自分でやれば・・・と思いましたが、今は会社やお客さまの業務を止めないことを第一に考えるようにしています。
「あきらめたら」何の進歩もありませんので、可能な限りの手段を使って課題達成できるようにしています。
佐藤
頼もしい発言ですね。モチベーションを維持するために日頃どのようなことをされていますか。
春日氏
社外の方とコミュニケーションを積極的に実施し、新しい情報や知識を身につけることを心がけています。1999年に社外で知り合った方の紹介でBSPさんのA-AUTOと出会い、2004年に取引を開始しましたが、運用の自動化、標準化に始まり、色々なことを知ることができました。最近提供していただいた情報の中ではオープンフレーム(メインフレーム資産をオープン環境で稼動させる技術)なんかは新鮮な話ですね。あと他には、新しいネタを仕入れて社内でどのように適用するかを考え、企画書を書くようにしています。
佐藤
社内に新しい風を吹かせているわけですね。
春日氏
沢山、矢を放つようにしています。でも10本に1本くらいしか採用されていませんが・・・。
佐藤
社内で着々と存在感を増しているように思えますが、尊敬する先輩とか上司とかはいらっしゃいますか。
春日氏
オペレーションチームに在籍していた時の上司ですね。ものすごく人当たりがいいんです。私は、それまではいつもこわい顔をしていましたので、自分と違う点を見習うようにしました。
佐藤
どんなことを教えていただいたのでしょうか。
春日氏
仕事をしていく中で守らなければならないこととして3点教わりました。
①仕事には自ら締め切りを設ける(そうしないとやらない)
②人と人が働く職場では、コミュニケーション重要(良い媒介役にならんと思う)
③締め切りを設定したらそれを絶対に守らせる、守る(プロとして当たり前のこと)
この基本スタンスに沿って部下や後輩に仕事を指示し、仕事の成果(どのように効率が向上するか)等をキチント説明して、「よしやろう!」と思うような仕事の依頼をすることが大事なんです。
私も上司から教えていただいたこのことを大切にして、仕事をしていくように努力しています。
締切を守るのは意識して仕事していないと難しいですね。
佐藤
よい仕事の進め方ですね。最後に自分のこれからの抱負みたいなものがありましたら、お聞かせください。
春日氏
3年後には、リーダーになって活躍したいですね。
先ほどお話した上司のような仕事をして、会社に貢献し、部下を育てるようなリーダになれればと思います。日々の運用に工数をかけずに業務を運営し、よい企画をドンドン出して、会社が儲かる仕組みを考えたいですね。
もっと先の目標ですが、会社の業務により近いところでIT部門が仕事をしているようにしたいと思っています。今のIT部門は専門職でないと勤まらないような仕事の仕組みになっていますので、他部署から人を招き入れない状況になっていますが、この辺をカイゼンできればと考えています。でも、この問題は少し時間がかかりそうですね。
佐藤
大きな目標ですね。目標に向かって頑張ってください。本日は、どうもありがとうございました。

 

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