概要
60歳手前のリタイヤ間際のオヤジが、ITコーディネーター資格に飽きたらず、どうして更なる難関資格である中小企業診断士の取得に取り組むことにしたのか。勉強の効果を上げるためにどんな工夫をしたのか、またモチベーションを保つために何をしたのか等など、私が経験した試行錯誤の連続を飾らずに、つたない文章ですが書かせていただきます。皆様にとって何か一つでも参考になることがあれば幸いです。
独学で合格できるの?
中小企業診断士の試験を、独学(自学自習)で合格できるかと問われると、私の経験からも独学で十分合格できると断言できます。
独学で合格するためのノウハウは、インターネット上でも幾つか公開されています。独学でやることを希望される方は、色々調べてみると、参考になると思われます。
勿論、言うまでもありませんが、自分1人で勉強できる、続けられるというのが、必須条件になります。
私は、殆んど独学でやりました。独学を選んだ理由としては、
①仕事の関係もあるので、学校のカリキュラム通り、通学できるか不安があったこと、
②資格取得のための専門学校はかなりの費用(1年で30万円程度)が掛かること、
③ITコーディネータの勉強を独学でやったことで、勉強する習慣が付いていたこと。勉強するのが苦痛では無く、むしろ好きになっていたので、独学でも続けられる自信があったこと、等です。
大変なボリューム
勉強を開始するにあたって、中小企業診断協会のホームページや関連情報から、出題範囲などを調べました。勉強する範囲やボリューム感が、ある程度想定できました。その当時の私にとっては、この勉強の範囲やボリュームは、1年で(1次と2次の)合格レベルに達するのは、到底無理と思えましたので、2年計画にすることにしました。
因みに、最初に購入した1次試験用のテキスト、参考書、問題集などで、40冊近くになりました。途中で、問題集や参考書などを追加購入しましたので、50冊程度になりました。2次試験用を加えると最終的には、70冊を大きく超えるものになりました。
1年目は1次試験対策に集中して、2次試験は翌年合格を目指すことにしました(今でこそ言えますが、1年目のやり方は、あまり良くなかったです。次回以降で説明させて頂きます)。1年目は1次試験に集中と言っても、科目数も7科目と多いです。また、それぞれの範囲も広いので、1年で合格レベルに達するのは大変です。
精一杯、やったつもりですが、1年目に受験した時は、正直言って自信は全く無かったです。
幸い結果は、1回で1次試験に合格できました。40点台の科目もありましたが、「経営情報システム」で稼いだのが効いて、合格点(平均60点以上)スレスレで滑りこめた、”ラッキー”というのが実感です。
1次試験は、計算問題もありますが、知識問題が多いです。勉強を繰り返しやればやるほど、より知識の定着が図れると思います。
2度目(3年目)の1次試験を受けた時は、発表前から合格の自信がありました。結果は、合格点をかなり上回るものでした。
1次試験(8月初旬)から2次試験(10月下旬)までは、2ヶ月半ほどしか期間がありません。2ヶ月半で、2次試験の合格レベルに到達するのは、困難だと思っています。
9月に受けた2次の模擬試験(2次試験の勉強を始めて約1ヶ月後)は、メタメタでした。結果は、20点台が1科目、30点台が1科目、40点台が2科目の、ヒドイものでした。
10月の本番の2次試験も、予想通り(!)不合格でした。結果は、”B”(50点台)が2科目、”C”(40点台)が1科目、”D”(40点未満)が1科目でした。
合格水準には遠く及ばなかったですが、私自身は、2ヵ月半でここまで出来たということで、やれそうだと自信がつきました。
2年目の2次試験の結果は、”A”(60点台)が2科目、”B”(50点台)が1科目、”C”(40点台)が1科目でした(期待していましたが、残念ながら不合格でした)。
2次試験は、何度も繰る返し勉強(訓練)することで、”B”(50点台)までは、レベルアップするように思います。でもその上、”B”と”A”(60点台)の間には段差があって、そこで足踏みのような感覚を味わいました。自分で納得できる回答が、書けるまで時間が掛かりました。
3年目には、4科目全てを2年目+10点にすることを、目標にしました。2年目で自分なりの2次試験の攻略法は、ある程度できていると思っていましたが、更にレベルアップするために、再度原点に戻って、何が足りないのか考えました。色々な方法を何度も、これだと思えるまで試行錯誤しました。
この辺りの勉強の工夫などについては、別途改めて書かせて頂きます。
学校に少し行きました
先ほど殆んど独学と述べましたが、実は、2ヶ月間だけ学校に入学しました。1年目に1次試験を合格し、2次試験までの間の2ヶ月間、2次試験対策講座(速習コース)を受けました。
2次対策として、学校ではどのような指導をするのか知りたかったのと、2次の模擬試験を体験してみたかったからです。2ヶ月間の短期間でしたので、授業のスピードも速く(当時は速く感じた)、未消化の部分もありましたが、学校で教える2次試験対策のノウハウ、注意点などを一通り学べました。
この時は、学校をじっくり選ぶ時間も無く、1次試験から一番早く、2次試験対策をやってくれる学校を探しました。
・独学でやるなら
独学でやる場合でも、闇雲に勉強範囲を広げると、勉強時間が掛かります。
まず1次試験は7科目あって、それぞれの科目の出題範囲も広いので、なるべく効率的に勉強する必要があります。
市販の解説本などで勧めている、効率的な方法は、どこか1校のテキスト集(7科目)を選んで、それを中心にして勉強するものです。勿論、それだけでは不十分ですので、知識補充用の参考書も揃えます。
でも問題集は、幾つか違う学校のものを使ったほうが、観点が違う問題が経験できるので、良いように思います。
このテキストと参考書、問題集を、徹底して何度も繰返し勉強します。繰返すことで、知識(記憶)が定着していきます。
どこの学校のテキストを選ぶかですが、本屋で実際に読んでみても、予備知識がない事もあり、自分に合いそうなものを決めきれないです。私は、市販の解説本(2冊購入しました)が勧めるテキストや参考書などを、参考にして選びました。
2次試験対策ですが、結果的には5校のテキストや問題集で勉強しました。途中で、テキストや問題集を、途中で追加購入した結果、多くなりました。
各学校で指導している論理展開の手法や、解答の書き方などは、学校によって相当違います。最初は、各校のものを一通り全てやってみました。自分のフィーリングに合うやり方(解答へのアプローチ、解答の書き方など)を探しました。
何度も試行錯誤して、各校から良いとこ取りしたような、自分に合うやり方を工夫しました。この自分なりに工夫したやり方を、自然に出来るまで徹底的に訓練しました。
多くの学校の教材を使うというのは、時間の掛かるやり方だと思いますが、自分で納得出来るまでやれたことは、良かったです。
模擬試験
1次試験
は、マークシート方式で60分(4科目)と90分(3科目)の試験です。過去問題や問題集などで本番と同じ時間で訓練すれば、時間配分の感覚や、1日に4科目(2日目は3科目)の大変さなどは掴めると思います。
1次試験は、模擬試験を経験しなくても、そのまま本番でも対応できると、私の体験からも言えます。しかし、場慣れしますので、受けられるのであれば、受けたほうが良いです。
模擬試験は、各学校で開催されています。各学校のホームページでも探せますので、都合の良いのが見つけられます。
2次の模擬試験
は、1度でも良いので、受けることをお勧めします。2次試験は80分x4科目で、緊張感や独特の時間配分、脳味噌がどれ位ヘトヘトになるのか、手がどれ位疲れるのかを、(1回でも)本番前に体験したほうが、良いと思います。
私は独学でしたが、模擬試験は、1年目の2次試験対策講座の中で、2次の模擬試験を1度受けました。1次試験対策の模擬試験は1度も受けなかったです。
全てが計画通りに進めば、カッコ良かったらも知れませんが、現実は予定通りには行かなかったです。2年目の2次記述試験で、幾つか大ドジをやってしまい、あと一歩(二歩?)の処でダメでした。3年目(2008年)に1次、2次を合格しました。
負け惜しみが無いと言えば嘘になりますが、1年長く勉強したことで、1次の知識がより理解できて、かえって良かったです。
独学のメリット、デメリット
独学のメリット、デメリットは次の通りです。あくまでも個人的な意見です。
メリットの
第1は
、勉強が自分の都合に合わせて、出来ることです。忙しいサラリーマンにとっては、大きなメリットではないでしょうか。
第2は
、費用が、勉強用の教材(テキスト・問題集や各種参考書など)だけで、学校に行くより断然安価なことです。
独学ですと、テキストや問題集、参考書などの教材費だけで済みます。私の場合では、1次、2次用全てでも、20万円未満でした。模擬試験を受ける場合は、試験代が別途必要です。
因みに、1年学校に行くとしたら30万円前後、2年では60万円前後(あくまでも目安です。学校によって異なります)が必要になるようです。また、学校の所在地によっては、交通費も発生します(これが馬鹿になりません)。
デメリットの
第1は
、一人でやるので、勉強の仕方などが試行錯誤的になることが多く、期間・時間が余計に掛かると思われることです。学校よりも効率性が低いと言えます。
各学校で発行している教材にも、勉強法は書かれている事もありますが、書いていることに疑問があっても、質問できません。自分に合うやり方を、自分でやってみて見つけるしかありません。
各教材(テキスト・問題集や各種参考書など)の内容などで、解らない所があっても、自分で調べて解決するしかありません。反面、色々調べて考えることで、理解が深まるとも言えます。
2次試験対策では、自分の回答を第三者に、評価・添削してもらえないことです。
自分の弱点を、自分で見つけて、自分で改善する必要があります。問題集の模範解答や解説を参考にして、第三者の意識で、自分の回答の(悪い)クセを見つけることになりますが、慣れるまでは結構苦痛です。
第2は
、一人なのでモチベーションが下がると、挫折しやすいことです。これが、独学でやる場合の一番の問題だと思っています。
サラリーマンですと、仕事の都合や、(飲み会などの)お誘いもあるでしょうし、気晴らしをしたい時もあるでしょう。家庭があると、色々な制約事項もあるでしょう。自分を律してモチベーションを保ち続けるのは、本当に大変です。
なお、モチベーションの保ち方・上げ方は、私が今までやったやり方が、参考になると思われます。これについては、次回以降で書かせて頂きます。
第3は
、学校の講師(中小企業診断士)や受講生仲間などの知り合いが居ないことです。合格後の中小企業診断士との繋がりが弱いことです。独学の一番のハンディかもしれません。
学校に行くメリットは
金銭的に余裕があって、通学時間も都合が付くのであれば、学校に行ったほうが良いと思います。 学校に行くメリットは、独学のデメリットの裏返しになります。
メリットの
第1は
、各学校には、それぞれ独自に開発・工夫された受験対策のノウハウがあることです。これを活用出来ることで、効果的で効率的な受験対策ができ、合格の確率が高くなることです。
解らないことがあっても、講師に質問することも出来ますし、受講生仲間と意見交換などもできるので、早く理解が深まることが期待出来ます。2次試験対策では、自分の回答を添削してもらえて、弱点や改善点を指摘して貰えます。
更に、授業が受けられない事があっても、後日講義内容(録画)が見られる設備や、自習ができる施設を持っている学校も多いので、これらを自由に活用できるメリットも大きいと思われます。
ただし、言うまでもないと思いますが、学校へ行っても授業だけでは、全く勉強は足りないと断言できます。テキストや問題集の予習、復習などを何度も繰返すことが必要です。より理解を広げ・深めるために、学校の教材に加えて、参考書や関連資料などでの勉強も必要になります。
学校へ行くと合格の確率が高くなるといっても、2次試験の合格までは、実績としては2、3年という人が多いようです。
因みに、1次試験の合格率は20%弱ですが、学校によっては30%、40%という合格率を誇っている学校もあります。でも、意地悪な言い方で恐縮ですが、学校に行って勉強しても、3分の2の人は落ちるということです。本当にキツイ試験と言えます。2次試験も同じような実績です。
余談ですが、ごく少数ですが、1年でストレート合格する人もいます。全くの独断と偏見ですが、ストレート合格する人は、30歳台くらいの比較的若い年代の人が多いようです。知力、特に記憶力と体力が必須ということだと思っています。
どうしても1年でストレート(1次・2次試験)合格を、希望するのであれば、学校に入るのは必須かもしれません(勿論、学校が1年で合格する保証をしている訳ではありません)。
また、私の経験からも、
財務・会計
に強いと、合格レベルに到達するのが、比較的早いと思われます。それでも、1年でストレート合格するのは、並大抵の頑張りでは達成できないことです。
本人の頑張りがあって、その上に学校のストレート合格カリキュラムやノウハウ、指導もあって、それでやっと一部の人がストレート合格するようです。
個人的には、2、3年で合格するほうが、必要な知識などもより定着するので良いと思っています。忙しいサラリーマンや、私のようなオッサン世代で始めるのであれば、2年(または3年)計画で、じっくりと取り組まれる事をお勧めします。
メリットの
第2は
、講師や受講生仲間がいることで、刺激しあいモチベーションが、保ちやすいことです。
受講生仲間と連絡を取り合って、合同で勉強したりする、というのはよく聞かれます。
学校では、強制ではないですが、カリキュラムに沿って、授業を受け勉強することが前提になります。これを良い意味で”外圧”として上手く利用すると、苦痛が少なくて、勉強する習慣が付きやすくなるので、モチベーションが保ちやすいと言えます。
メリットの
第3は
、講師(現役の中小企業診断士が多い)や受講生仲間などの、中小企業診断士の知合いが、多くなることです。
最終的には、これが学校に行く最大のメリットかも知れない、と私は思っています。独学の私にとって、唯一羨ましい点です。
こんな知合いの少ない私ですが、まずは、実務補習で、指導を受けることになる指導員(勿論、中小企業診断士)や同じ受講者などを、取っ掛かりにして、中小企業診断士の知合いを多くし、お互いの強みを活かせるチャネルを作って、広げていければと思っています。
どんな学校を選ぶの
私は独学でしたが、診断士試験にチャレンジするのであれば、通学や金銭などの面で問題がなければ、学校に行く(通学する)事をお勧めします。
学校に行っていない私が言うのは僭越ですが、学校選びは重要ですが、難しいと思っています。診断士資格の学校と言っても、指導方針など、かなり違いがあるようです。
市販されている各学校のテキスト・問題集などから推測すると、1次試験対策での勉強する範囲や指導方法にも、違いがあるようです。
特に、2次試験対策での指導方法は、学校によって、問題の解析の仕方、解答への論理の組み立て方、解答の書き方など、かなり違いがあります。
私は、幾つかの学校のやり方を試してみましたが、合格率が高い学校が、一概に良いとも思えません。自分に合うか合わないか、だと思っています。
学校を選ぶときの留意点ですが、入る前に、幾つもの学校の資料を、取り寄せて(インターネットで入手可も多い)比べるだけでなく、学校に出向いて下さい。説明を聞いて見学や、出来れば体験入学もやってみて下さい。
学校の指導方針・カリキュラム・講師や雰囲気などが、自分に合いそうか十分に見極めることが、重要だと考えるからです。通学のし易さや、行けなかった時のフォロー、施設・設備面なども確認して下さい。
幾つか学校を見ると、自分なりの比較する目が、養われると思っています。
学校に入ってから、合わないと思っても、現実的には替わるのは難しいので、時間をかけて慎重に検討すべきです。
そして、一旦学校に入ったなら、その学校のやり方を徹底的にマスターするつもりでやれば、合格も視えて来るのではないでしょうか。
次回は、勉強方法って何やったの(その1)、と題して書かせて頂きます。
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