- 目次
- 今回のテーマは2024年アニメ化
- 狼と香辛料の初出はかなり前だった
- 最弱+テイマー+ゴミ拾いという盛り込み系ワード
- 佐々木とピーちゃんは異業種ミックス
- その他の2024年アニメも語ってみましょう
今回のテーマは2024年アニメ化
今回は久々の番外編です。番外編ではビジネス書以外の本を、ひとつのテーマで複数ピックアップして紹介します。当然、技術書も対象外です。そのような本は周りの新旧のエンジニアにどんな本が良いかを聞いてください。
過去の番外編は
・「第拾三夜 番外編 異世界で悩む管理者の夜」
・「第拾七夜 番外編 三国志で悩む管理者の夜」
・「第弐拾一夜 番外編 働く女性で悩む管理者の夜」
・「第弐拾五夜 番外編 ねこ本で悩む管理者の夜」
・「第弐拾九夜 番外編 エンジニア本で悩む管理者の夜」
・「第参拾三夜 番外編 スローライフで悩む管理者の夜」
2024年にアニメ化されたラノベはたくさんありますが、そのなかでも特に筆者が見たものをピックアップしてお届けしたいと思います。
狼と香辛料の初出はかなり前だった
「狼と香辛料」はかなり歴史のあるラノベです。2005年の第12回電撃小説大賞(*1)の銀賞受賞作品であり、著者である支倉凍砂のデビュー作です。内容は、ネタやタイトルがありきの最近のラノベというよりは、思いっきりオーソドックスなファンタジー。狼の化身の少女と普通の商人のロードストーリーです。昔ながらの知恵と勇気で旅を進めていくやつです。ネタやタイトルがありきの最近のラノベというよりは、思いっきりオーソドックスなラノベ。システム開発に例えますと、王道のウォーターフォール型といえるかもしれません。
最弱+テイマー+ゴミ拾いという盛り込み系ワード
そして、主人公の可愛さで人気が出た「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」です。この本も巻を重ねるほど人気がでてきた作品です。原作ファンとしては、アニメの初回に「いきなり本名かい?」とか、「テンポがゆっくりすぎ」とかいろいろありました。また、テイムした魔物もシエルとソラしか登場していないし、ドルイドパパもジナルさんも登場していません。仕方がないといえば仕方がないのですが、まだ面白さが十全に発揮されていません。
ストーリーが進むにつれて、教会とのアレとか魔法陣のアレとかいろいろ出てきて、この本の全体のストーリーの縦線がしっかり見えてきます。アニメから入った人は、現時点(2025年1月)では放送未定なシーズン2を期待しましょう。2期ではドルイドパパの登場は必須で、もしかしたら冬籠り+サーペントさんも出てくるかもしれません。そして、このラノベは、システム開発に例えると、タイトル盛り込みのアジャイル開発?といえるかもしれません。
佐々木とピーちゃんは異業種ミックス
3番目は、「佐々木とピーちゃん」です。タイトルは普通ですが、中身は異世界ファンタジー×異能バトル。ついでに魔法少女や怪獣やらが登場するミックスコンテンツです。通常は1つの世界観でストーリーは展開されるものですが、最近ではそれに反する作品も多くなってきています。例えば、アニメ化もされた「ダンダダン」(*2)はオカルトと宇宙人という異文化のミックス、さらに「バーサス」(*3)は人類VS各世界の天敵、のように世界観のミックス化が多数見られます。
そもそもラノベやファンタジーは、中世ヨーロッパベースの世界が多かったようですが、それだけにとどまらず、お互いの境界を越えたり、タイムリープしたり、ミステリーが絡んだり、デスゲームしたり、いきなり考察モードしたりのなんでもありです。そもそも、世界観が確定せずにストーリーを展開するのって、かなりの無理ゲーですが、それでも破綻させずにエンドまで持っていくのは見事です。しかし、この世界観の複合モードは、昭和なおじさんやおばさんに理解を求めるのは無理でしょう。「なんで魔法少女がいるんだ!」とか切れられそうです。
無理にシステム開発にこじつけると、ハイブリッド開発、例えばパッケージ+アドオン+ついでにカスタマイズのような開発パターン。さらに流行りの生成AIも活用しちゃうパターン。まぁ、最近の主流ですね。一番難しいんですよね。これもやはりおじさんたちは対応できないことが多いです。
その他の2024年アニメも語ってみましょう
2024年は、ラノベ原作ですと、「望まぬ不死の冒険者」「モブから始まる探索英雄譚」などがありましたが、どちらかというとマンガ原作のアニメのほうがおもしろかったような気もします。「ラーメン赤猫」「怪獣8号」といった知名度が高いものから、ゴルフ雑誌連載からの「オーイ! とんぼ」、拷問なマンガ「姫様“拷問”の時間です」、ゲームからの「天穂のサクナヒメ」、4コマからの「ダンジョンの中のひと」。さらになんと少女マンガでもあり麻雀マンガでもあり、尾道なマンガでもある「ぽんのみち」。百花繚乱なんでもありです。「ぽんのみち」なんて、過去の名作麻雀マンガのネタ(*4)が多数描かれており、麻雀マンガファンを歓喜させております。
さらに、「第弐拾一夜 番外編 働く女性で悩む管理者の夜」でも書いた「魔導具師ダリヤはうつむかない」もアニメ化されました。こちらも面白いとこまで進んでいません。2期以降に期待です。2025年のアニメも期待したいところです。
では良き眠りを(合掌)。
「私の名前。親に取り上げられた名前ではない。村を出た時から考えていた名前。踏まれても強く生きていけるように《アイビー》と自分で付けた」 by アイビーの言葉(「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」から)
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- 商標について
*1 電撃小説大賞は 第4回大賞「ブギーポップは笑わない」、第9回金賞「バッカーノ! The Rolling Bootlegs」、第15回大賞「アクセル・ワールド」あたりが有名。ライトノベル系の新人賞では最多の応募数を誇ります。また、2024年で第31回という歴史もあります。
*2 「ダンダダン」といえば、マンガよりは肉汁餃子のダンダダンなんですよね。美味いです。
*3 「バーサス」は麒麟の川島とかまいたち山内がMCを務める「マンガ沼大賞2024」の一位を獲得。講談社「月刊少年シリウス」で原作:ONE、漫画:あずま京太郎、構成:boseという3人体制で発表されている注目作です。
*4 例えば、超名言な「あンた、背中が煤けてるぜ…」、「ギャンブラー自己中心派」からの「竜巻ツモー!」や「ちゃい」、「アカギ」からは「へへ…きたぜ…ぬるりと…」など。
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筆者紹介
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大手IT会社に所属するPM兼SE兼何でも屋。趣味で執筆も行う。
代表作は「空想プロジェクトマネジメント読本」(技術評論社、2005年)、「ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎メディアコンサルティング、2009年)など。2019年発売した「IT業界の病理学」(技術評論社)は2019年11月にAmazonでカテゴリー別ランキング3部門1位、総合150位まで獲得した迷書。
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