SLAプロセスの進め方
SLAプロセスは「第2回SLAの導入目的」でも記述しましたとおり、”サービスの価値の3要素”と照らし合わせ、ITサービス全体の標準SLAとしてサービスカテゴリごとに分類することができます。サービスカテゴリ別に分類されるものとしては以下のとおりです。
図1 ITサービス全体の標準SLA
ITサービス(形態) : 利用者と提供者間でのサービスそのもの
ITプロセスマネージメント : 主にサービス提供者側の内部管理プロセス
ITリソース : サービスを提供する際の提供者側の各種資産
【参考】サービスの価値の3要素(第2回掲載)
SLAプロセスとは
SLAプロセスとは、サービスレベルの設定プロセスのことを指し、サービスレベルの設定プロセスは、以下の3つのフェーズから構成されます。
要件検討フェーズ
要件確認フェーズ
決定フェーズ
サービスレベルの設定プロセスでは、サービスカテゴリごとに分類される、(1)ITサービス(形態)、(2)ITプロセスマネージメント、(3)ITリソースの各要素を取り入れながら進めることが必要でかつ重要となります。
サービスレベルの設定プロセスでの各実施フェーズの作業概要について以下に記述します。
1.要件検討フェーズ
[1]対象サービスの設定
既存の運用状況を踏まえて、現状サービスの棚卸を行い、対象となるサービスをメニュー化し明確にします。
サービスの捉え方、考え方は利用者ごとに変わることがあるため、どのようなサービスを利用しているのかを事前に確認しておくことが重要です。
[2]サービスレベルの把握・調査
既存の運用サービスの実態を調査・把握し、利用されているサービスの現状でのレベルを把握します。
[3]サービスレベル項目の見直し
サービス項目を基本項目、個別項目に分類し、重要度・優先度を含めて見直しを行い、サービスレベル項目の設定を行います。
2.要件確認フェーズ
[1]サービスレベル目標値の設定
既存の運用実績をベースに、提供サービスの重要度・優先度を含めて各サービスレベル項目の目標値を設定します。
[2]サービス費用試算
委託先へのサービス費用の見積り依頼または内部試算を行い、コスト・リスク等の観点から対象サービスの目標値を見直します。
[3]サービスレベル評価・検証
見直し、再設定を行ったサービスレベル目標値の整合性を検証し、評価方法や報告内容について確認を行います。
[4]調整
サービス費用試算とサービスレベル評価・検証の結果、サービスの提供に掛かるコストの適正度を検証し、評価方法や報告内容の調整を行います。
3.決定フェーズ
[1]契約
サービス提供者と利用者との合意のもと、SLAの内容に基づき契約を締結します。
サービスレベルの設定プロセスの流れを以下に記述します。
図2 サービスレベルの設定プロセス
次回は、サービスレベル項目の考え方について、整理します。
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筆者紹介
株式会社ビーエスピーソリューションズ
ITサービスマネージメントグループ
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