サービスレベル項目の考え方
このたびは、『SLA設計のポイント』について掲載が滞ってしまい誠に申し訳ございませんでした。
約1年ぶりの掲載となりますが、今回から担当は、私ビーエスピーソリューションズ、ITサービスマネジメントグループの庄司が当コーナーを担当させていただくことになりました。1年間更新が無かったのにもかかわらず、当サイトのなかでのアクセス数も多く、皆様のSLAへの関心の高さがわかります。今後は、定期掲載(月1回程度)で情報提供を行っていきますのでよろしくお願いいたします。
それでは早速、本題にはいります。
今回は、サービスレベル項目(SLO:Service Level Objects)の考え方について整理していきたいと思います。
サービスレベル項目は、対象とするサービスのサービス要件とサービス評価項目(指標)からなります。サービス要件とは、サービス対象に対して提供するサービスの”する/しない”、”あり/なし”で規定するものであり、サービス評価項目とは、サービスレベルを具体的に規定する項目です。サービス評価項目は、次の2項目に分類します。
□基本項目 サービスを提供するうえで必須となる項目
□個別項目 サービスの付随要件により選択すべき項目
サービスレベル項目は、以下の2つの要素で構成します。
□評価方法・手段 サービスレベル項目を定量的に評価する方法
□設定値・目標値 サービスレベル項目のレベルを具体的に規定した値
次に、サービスレベル項目の検討・決定方法です。
これまでの考え方を念頭におき、一から項目を考える必要はなく、いろいろな書籍などを参考にすることをお勧めします。ここで、お奨めするのは、もっともポピュラーであろうJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)が出版している、「民間向けITシステムのSLAガイドライン」の付録に収められている、標準評価項目一覧です。
なぜお奨めするかといいますと、この一覧には、次の8つの視点に区分し整理されていることから、利用者がどの観点でサービスを委託するのかが把握しやすい点にあります。
可用性(Availability)
機密性(Confidentiality)
完全性(Integrity)
信頼性(Reliability)
確実性(回復)
性能(応答性)
拡張性(Scalability)
保守性(期間)(Maintenancibility)
また、この他にも付録として、SLA項目詳細表や、契約書、合意書などのサンプルが用意されており、このツール群を雛形にして、自社向けにカストマイズすることができます。
こういったサンプル集などを利用し、実際の契約に即した項目をピックアップして使用していきましょう。
最初から、多くの項目を盛り込むのではなく、小さくスタートをし、PDCAサイクルが軌道に乗ってきてから、項目を追加していく形を取っていくことが成功のポイントだと思います。
今回、サンプルは、掲載することができませんが、ISO20000のJIS化など外部環境の変化から再度SLAの注目が高まっており、書籍などが充実してきていますので、ぜひ探してみてください。
次回は、「SLA合意と契約の進め方です。」
※参考文献:「民間向けITシステムのSLAガイドライン」 JEITA編著
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筆者紹介
株式会社ビーエスピーソリューションズ
ITサービスマネージメントグループ
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