「ISO20000の規格について(4)」
それでは、第4回目は、『5.新規サービス又はサービス変更の計画及び導入』
についてお話したいと思います。
この要求事項は、現在、大きく2つの観点で解釈がとられています。
1つは、規格の題名通り、単純に組織の新規サービスと
既存のサービスの変更に対する立案と策定として解釈することです。
そしてもう1つは、新規受注した顧客に対して提供するサービスまたは、
既存に提供しているサービスメニューやサービス内容の変更を
新規/変更するサービスとして解釈できます。
では、どちらの解釈が正しいのか?
答えとしては、どちらでも構いません。また、両方の解釈を適用させても構いません。
ただし、適用される組織およびサービスの業務状況を考えて、
どちらの解釈が自組織に適しているか、または両方の解釈を
適用するべきなのかを検討する必要があります。
『5.新規サービス又はサービス変更の計画及び導入』の要求としては、
まず新規サービスまたは、変更サービスを立案し、その立案したものの受付け方から、
計画の策定、そして、承認の取り方が要求されています。
計画にあたっては、各関係者(顧客およびサプライヤ)の役割/責任の明確化や
既存サービスの変更点の明確化、さらには、必要な人員や人員の能力、技術、
業務プロセスなどの明確化が要求されています。
最も特質なのが、運用後の予測結果を計画に入れることです。
これは、新しいサービスが本当に上手くいったかを管理することが目的です。
そして、最後に計画で明確にした結果と実際の結果の比較が要求されています。
この点を踏まえて、この『5.新規サービス又はサービス変更の計画及び導入』の
定義を判断されることをお勧めします。
例えば、1対Nでサービスを提供されている企業に、
新規受注した顧客へのサービス提供を、”新規サービス”として解釈すると
オーバコントロールになってしまいます。
ただ、1対1のケース。 例えば、親会社の情報システムの運用などを
されている組織で考えると、別の企業へのサービス展開を”新規サービス”と
解釈することで、規格が求める内容と合致するかと思います。
これとは逆に、数十社から数百社を抱えるサービスに対して、
新規顧客の受け入れを”新規サービス”と解釈する場合、新規サービスの計画を策定し、
さらに計画の中には、人員の能力や技術、採用要件、
トレーニングなどを明確にする必要があります。
重要なのは、ここまで明確にする必要があるかということです。
更には、運用予測結果も求められていますので、これを売上とするのか?
満足度とするのか?などと無理な実現方法を適用させることになります。
そうなると既存業務への負荷が高まってしまうケースもあり、最悪の状態として、
認証マークだけのものとなり、形骸化してしまいます。
その点を考慮して、適切な解釈と実現方法の判断をお勧めします。
次回からは、ITIL部分のサービスデリバリプロセスのお話をします。
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