JMC ISO20000

第9回 「ISO20000の規格について(9)」を掲載

概要

ITサービスマネジメントシステムの国際規格「ISO20000」を解説するコラム。 要求事項ごとに考慮すべきポイントを交え、スムーズに構築を進めるノウハウをご紹介します。

「ISO20000の規格について(9)」

今回の内容は、「6.4 ITサービスの予算管理及び会計」です。

「6.4 ITサービスの予算管理及び会計」は、ISOのマネジメント規格として、
特徴的な要求事項ですね。

ISO9001、ISO14001、ISO27001、その他様々なマネジメント規格では、
必要となるリソースや資源を決定して提供することが要求事項として定められています。

それに対し、ISO20000では、提供することまでのプロセスに加えて、
コストの明確化から予算化、財務コントロール、会計処理といった
プロセスの確立までも要求されています。

これだけで見てしまうと非常に身構えて、とんでもないことが要求されるのでは
ないかと思われるかもしれません。

ご安心ください。この要求事項の目的は、サービス提供のコストに関する
予算管理と会計を行うこととなっています。

つまり、サービス提供にかかるコストの明確化と予算、会計の仕組みができていれば問題ありません。
どの企業でも当然に実施されていることが要求されていると考えてもよいでしょう。

具体的な要求として、大枠で、以下 (1)~(3)の3点があります。

(1) 適用するサービスに対するコストの明確化
適用するサービスで以下の項目がコストとして、明確に計上され、予算化されていれば要求を満たします。

IT資産
共有の設備や建物などのリソース
経費
外部委託費
人件費
保険及びライセンスなどを含むすべての管理費
また、直接費と間接費の明確化が要求されています。
どれが直接費で、どれが間接費なのかを明確にしましょう。

(2) 上記項目における予算及び会計処理、調達における承認(財務コントロール)のルール化
規格では、上記の明確な方針及びプロセスが要求されています。
会社規定に従い、実施しましょう。財務コントロールも会社全体のとして
捉えるのではなく、適用範囲としての枠で捉えていただければ、
単なる稟議のことを要求されていると解釈できます。

(3) 予算及びコストの管理
これも、すでにどの組織でも実施されていることだと思います。
要求事項は、予算の達成状況とコストの監視が要求されています。
例えば、マネージャ会議や経営会議などで、毎月予算の達成状況と
コストの状況を報告させ、管理されているということであれば、
マネージャ会議か、経営者会議を適用することができます。

その他に、会社で予算の達成状況とコストの監視をされているのであれば、
その方法を適用すれば要求を満たします。

そもそも、この要求事項の目的は、効率よく適切な決定と提供を行うためのものです。
サービスにかかるコストを明確にし、予算管理と会計処理のプロセスを定めることで、
継続的なITサービスの運用維持ができます。

「会社の中で必要コストが明確になっている」、
「財務コントロールといった、いわゆる稟議の承認ルールが明確になっている」といった、
コストや予算の達成状況を管理するための取り組みが行われていれば問題ありません。

注意すべき点は、(1)の項目がコストとして明確になっていて、
そのコストが適切に割り当てられているかどうかです。
以外にも、適用するサービスにかかるコストを明確化していない組織は多いのです。

次回は、「6.5キャパシティ管理」の解説です。

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筆者紹介

株式会社JMCリスクソリューションズ 吉岡努

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