JMC ISO20000

第19回 「ISO20000の規格について(19)」を掲載

概要

ITサービスマネジメントシステムの国際規格「ISO20000」を解説するコラム。 要求事項ごとに考慮すべきポイントを交え、スムーズに構築を進めるノウハウをご紹介します。

「ISO20000の規格について(19)」

今回は、「9.1 構成管理」について説明します。

「9.1 構成管理」は、安定したサービスの構成状態を把握し、その構成情報を維持するための
管理プロセスです。

この要求事項の目的は、実際の構成と構成管理で管理する情報の完全性の維持で、常に構成情報が
実際の構成の状態と一致していることが求められています。

そのため、構成を管理する情報については、しっかりとしたコントロール手順が求められ、
さらには、追跡可能で監査可能な状態にするために、更新履歴を常に残すことが必要です。
また、万が一消失した場合でも元に戻せるようバックアップを取ることも求められております。

なぜ、このようなことが求められているかというと、ISO20000では、この構成情報を参照して、
障害などがあった場合に、どこが原因で、どのようなところまで影響が出ているのかを把握したり、
変更する場合に、どのような部分に変更の影響が出るのかなどを評価したりすることを目的としており、
構成情報と実際の状態にずれがあると大きな問題になってしまうからです。

だからこそ、完全性を維持するためのコントロール手順が求められており、さらには、
構成情報と実際の状態があっているか、そして、定めたルール通り運用されているか等を
監査する構成監査の実施が求められています。

ISO20000の要求事項の中でもかなり詳細な内容で要求されている項目です。
そのため「9.1 構成管理」では、何を構成情報として管理していくかが非常に重要です。

詳細な内容まで構成情報を管理すると、それだけ管理工数も高まりますし、
おおまかな情報であれば、あまり意味を持たない管理になります。

ISO20000では、適用する組織でその対象と管理する情報の詳細さを決めることができますので、
組織が必要とする範囲(サービスの安定な状態を把握する上で必要な情報の範囲)で決定することを
お勧めします。

構成管理で管理する対象と情報を決定したら、あとは、その情報を記録する方法です。
規格要求事項では、これを「構成管理DB」と呼びます。

ネットワーク管理ツールを導入されている企業であれば、SNMPから、MIB情報をもとに機器構成を
マッピングする機能を利用して、構成管理DBの実現ができると思います。

この機能があると、規格要求事項である「必要な人間に、この構成情報から構成対象の
現在のステータス(障害中等)を可視的にする」という実現に対して非常に有効になります。

次回は、「9.2 変更管理」についてお話しします。

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筆者紹介

株式会社JMCリスクソリューションズ 吉岡努

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