「ISO20000の規格について(20)」
今回は、「9.2変更管理」についてお話したいと思います。
運用上での一番のトラブル要因は、現在の状態からの変更作業であることが多い傾向にあります。
この原因は、作業者の変更や作業者の思い込みによる間違った変更、作業者によって方法の
異なる変更作業、変更にあたっての十分な検討、準備期間を設けずに導入作業を行ってしまう
変更など、様々なことがあげられます。
ISO20000の「9.2変更管理」では、このような変更作業でのトラブルをなくすため、定めた方法と
定めた体制で、変更作業を確実に行うことを目的としております。
具体的には、以下のようなことが求められています。
1.どのような変更作業を変更管理に適用するのか明確にすること
2.変更要求を記録すること
3.変更要求に対して、分類基準を定め、分類すること
4.変更要求に対しての評価方法を定め、評価すること
5.認可した変更に対して、失敗した場合の対応方法を定めること
6.変更要求を認可する方法を定め、認可すること
7.認可後、導入にあたっての準備と導入方法を定めること
8.導入後のレビュー方法を定めること
9.非常時の変更方法を定めること
10.既に予定されている作業とスケジュール調整すること
11.関係者へ必要情報を伝達すること
12.分析方法を定め、分析すること
ポイントとなるのが適用する作業内容です。
対象となるのは、サービス及びインフラストラクチャの変更です。
では、「サービス及びインフラストラクチャ」というとどこまでを適用すればいいのかと
頭を悩ますことと思います。
それについては、各会社や組織で検討し、その範囲を決めることができます。
自組織が適切だと思われる変更作業を適用しましょう。 私は、自組織が提供するサービスと
サービスレベルを対象に、変更作業が失敗するとサービスとサービスレベルに影響を及ぼしてしまう
ものを対象とすることをご提案しています。
また、いくつかの要求事項の中に、「変更管理に従い変更を行うこと」と要求があります。
例をあげると、SLA、サプライヤとの契約書などがあります。
ISO20000では、インフラの変更と契約書関連の変更を、変更管理プロセスを通して変更作業を
行うことが求められているということです。
会社の規模や体制によっては、インフラの変更方法と契約書関連の変更方法を同じ方法で行う
ということが非常に難しいことと思います。
会社によっては、契約書の変更とインフラの変更では、検討する担当者、認可をする担当者など
異なっていたり、そもそも契約の変更であれば、会社の規定があったりとインフラの変更と
同時には実現しにくいことがあるかと思います。
ただ、規格では、変更管理プロセスという固定的な方法を定めることを要求しているわけでは
ありません。
SLAであれば、SLAの変更方法、インフラの変更であればインフラの変更方法をそれぞれ定め、
それぞれの手続きに1~12を定めることも可能です。
(実際にこの方法で認証合格している企業もあります。)
ただし、この方法ですと、それぞれの手順に1~12までを適用させなければいけません。
1つの変更管理プロセスを定めるのか、それともいくつかの変更方法を定めるのかを会社の
実態と合わせて決定しましょう。
では、次回は最後、「10.1 リリース管理プロセス」についてお話します。
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