富士通メインフレームの本質を見る~IT全般統制の考え方

第1回 IT全般統制から見た富士通メインフレームの現状

概要

金融商品取引法の内部統制報告制度がスタートします。多くのメインフレームシステムでは性善説にたったシステム開発や運用管理を行っていますが、これが内部統制という名のもとに否定される可能性があります。  「富士通メインフレームの本質を見る」の第3弾として「IT全般統制の考え方」について解説します。第1回はIT全般統制から見た富士通メインフレームの現状について考えます。

目次
1.1 金融商品取引法における内部統制
1.2 私の問題意識
1.3 IT全般統制(ITGC)から見たメインフレームの現状

1.1 金融商品取引法における内部統制

 金融庁の実施基準では、ITに係る全般統制の具体例として図1-左下に示した4つが例示されています。その中でメインフレームにおける代表的な問題点を表1に示します。多くのメインフレームは、セキュリティレス・統制レスで運用されていますが、10年以上大きな問題もなく(問題に気づかず)運用し続けているお客様が大多数であることも事実です。

注)外部委託に関する契約の管理は、メインフレームに依存しない問題のため割愛

表1 IT全般統制(ITGC)におけるメインフレームの問題点

メーカは2007年5月に開催されたFUJITSU FUROM 2007で内部統制強化の取組みを紹介しました。現在(2008年2月時点)での状況を合わせて表2に示します。

出典:「経営課題に対応する基幹情報システムの将来展開」 2007年5月18日富士通株式会社

表2 メインフレームの内部統制強化の取組みと状況

2007年以降のエンハンス項目(表2の青字)の多くは現状では使えない機能と評価していますが、今後の改善に期待をします。
 メインフレーム上のIT全般統制はハードやソフトを導入すれば解決できるものではなく、お客様自身が整備・運用をしていかなければなりません。次回は、IT全般統制整備上の問題点について解説します。

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筆者紹介

有賀 光浩(ありが みつひろ)

株式会社アイビスインターナショナル 代表取締役

1963年生まれ。1985年富士通株式会社入社。1992年~2003年まで社内共通技術部門で国内外のメインフレームの性能コンサルティングを実施、担当したシステム数は1,000を超える。2000年からは大規模SIプロジェクトへの品質コンサルティング部門も立ち上げた。

2004年に株式会社アイビスインターナショナルを設立。富士通メインフレームの性能コンサルティングとIT統制コンサルティングを行っている。

技術情報はhttp://www.ibisinc.co.jp/で公開中。富士通やSI’erからのアクセスが多い。

当サイトには、同名シリーズ「富士通メインフレームの本質を見る~IT全般統制の考え方」を3回、「富士通メインフレームの本質を見る~バッチ処理の性能評価と改善事例から」を6回、「富士通メインフレームの本質を見る~CPUリプレースの考え方」を3回、「富士通メインフレームの本質を見る~性能改善の現場」を7回、「富士通メインフレームの本質を見る~2009年度の最新トッピックス」を3回、「富士通メインフレームの本質を見る~2008年度の最新トピックス」を2回にわたり掲載。

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