株式会社ビーエスピーソリューションズ
コンサルティンググループ 佐藤陽一
概要
「グリーンIT」について検討や調査を行なっていますか???
現状では、ハードメーカ等が省電力対策を中心に対策を進めていますが、環境とITの調和を考え様々な対策を考えていく必要があります。 このような状況の中、企業のIT部門としての立場やアウトソーシングセンタとしての立場で、「グリーンIT」に取り組むケースが徐々に増えてきています。
しかし、推進担当に任命された方からは、何から進めたらよいのか、ゴール目標をどのように設定したらよいのかがわからないといったお話を耳にするのも実態です。 このような悩みを解決していくために、サイトの読者の皆さんとともに「グリーンIT」について考える場をご提供いたします。
皆さんが知りたいことや情報提供いただけることなどがありましたら、ご投稿のほどよろしくお願いいたします。
カイゼン活かすサイトでのベンチマークアンケートデータを読む
11月19日より、当カイゼン活かすサイトで、第7回ベンチマークアンケート(平成20年10月実施)の集計結果が公表されています。
その中に、グリーンITに関する項目がありますので、今回はデータを読む形でレポートいたします。
まず、グリーンITに関する取り組み状況については、
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- 会社としての方針をたて実施にあたっている(18%)
- 情報を収集し実施計画を検討中である(10%)
- 情報を収集している檀家で、方向性は決定していない(42%)
- 情報がない(30%)
の状況でした。(図1参照)
図1 グリーンITに関する取り組み
このアンケートは、第6回(平成20年2月実施)から行っており、今回は2回目になります。
前回のデータでは、
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会社としての方針をたて実施にあたっている(6%)
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情報を収集し実施計画を検討中である(8%)
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情報を収集している檀家で、方向性は決定していない(34%)
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情報がない(52%)
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の状況でしたので、実施中・検討中の企業が14%から28%に上昇し、情報がない企業が52%から30%に減少しています。
単純に、数値比較した範囲でもグリーンITの浸透度は、半年の間で大幅な進化が認められます。 IT系の専門誌やインターネットでの情報提供ボリュームの増加や単行本が複数出版される等の効果がでてきているように推測されます。また、実施の推進役であるITベンダーの情報提供や提案が先行していましたが、秋口からは先進ユーザ企業の取り組み事例が紹介されるようになってきました。日経BP社発行のITproMagazine Vol2(2008年秋号)では、リコーとサントリーの取り組み事例が紹介されています。リコーの取り組みについては、「環境と利益は両立できる、貢献評価の仕組みが鍵」、サントリーの取り組みについては、「生産現場のロス解析手法がグリーンITに効く」とそれぞれ紹介されています。 今後もこのような取り組み事例の紹介がグリーンITの浸透を深める有効な手段となっていくと推測されます。
しかし、このような先進ユーザ事例はまだまだ少ないのが現状で、今回のベンチアンケートで実施中・検討中のステータスの企業も多くは、ITベンダー、アウトソーサーといったIT関連の業種が多数をしめています。 製造業や流通業の一般企業やIT子会社での浸透度はまだまだ低い状況で、情報を収集し、「さて何から手をつけてようか??」といった様子が伺われます。
そうした状況に中で、有効な手段は、自社の状況を第三者の視点で診断してもらい、有効な実施方法のアドバイスをもらうことです。前回のこのコラムでも紹介いたしましたが、アクセンチュアのサイト(企業のグリーンITへの取り組みを評価するツール(GMM:Green Maturity Model)を提供)を活用することをお勧めいたします。筆者が弊社のお客様と活動中のユーザ会で、「グリーンITで考えるシステムインフラと環境問題」をテーマにした活動を実施しています。来年3月のユーザシンポジウムでの発表に向けて、論文の作成と評価ツールの試作を実施しています。このツールが完成すると現状の評価と実施のポイントが明確になる予定です。ツールの詳細が決定した段階で試使用を行い、内容の精査を実施する予定ですので、読者の皆様の中で興味のある方は、筆者までご連絡をいただければと存じます。
次に、ベンチマークアンケートの2番目の項目は、グリーンITで実施中・検討中の調査です。(図2参照)
電力消費量、CO2排出量の調査(20%)
仮想化ソフトの導入(20%)
省電力サーバの導入(10%)
サーバ管理ソフトの導入(10%)
省電力ストレージの導入(6%)
省エネコンサルテイングサービス(6%)
ファシリテイサービス(6%)
図2 「グリーンIT」取り組んでいる項目(実施中、検討中含む)
現状調査とソフトウェア、ハードウェアの導入がほとんどをしめる結果となっています。 ITベンダーが省電力タイプのサーバ、ストレージや仮想化ソフトの開発、提案を実施し、グリーンITを推進した経緯もあり、この分野のカイゼンが先行しているのが実態です。 消費電力の問題は、IT部門にとって大きな課題でもあり、ある企業では、全国のサーバを集中管理するセンターの月額電気料金が700万円であることが判明し、一般のオフィスとの消費量の違いが明確になりました。また、あるデータセンターでは、二つの変電所からの二重給電やセンター内での自家発電設備、UPSなどの付帯設備費用が受託する業務数の増加曲線とは比べ大幅な増加が課題となっています。この問題は、IT部門、ITベンダーとして、最重要な課題になりつつあります。提供するベンダー側のテクノロジーの開発とユーザ側の積極的な機器リプレースやサーバ統合の速度が望まれる状況にあると判断されます。
このような消費電力対策は、ITベンダー、IT部門にとって主導的な立場で取り組みやすいため、今後は多くの企業が取り組みことが想定され、この分野でのグリーンITは、加速度的に推進されることが予想されます。しかし、グリーンITのもうひとつの側面であるITを利用した(使用した)環境対策については、今後の検討分野です。人の移動を削減する「テレワーク、TV会議」やペーパーレス化等の施策は、古くから実施されていますが、環境対策として大きな効果を発揮するにはいたっていません。今こそ、ITベンダーやIT部門は、広い視野と豊富な業務知識、IT技術を融合し、この対策を実施するための施策を立案する時期になっていると認識する必要があると判断されます。 筆者は、真のグリーンITの浸透はこの分野の実働事例にかかっていると予見いたします。
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