組織横断で取り組むIT資産運用プロセス構築 ~クラウド・仮想化環境の全体最適化、ガバナンスの獲得~

第14回:Oracle監査対策とベンダーマネージャ育成

概要

デジタル トランスフォーメーションへの期待が高まるなか、大手企業の IT部門への期待はますます高まっています。その期待に応えるためには今まで以上に IT環境のガバナンス、コントロール、セキュリティ対策などの成熟度が求められます。 ますます複雑化する ITインフラに対して、どうすれば成熟度を高めることができるのか? 欧米の大手組織では、その鍵は「全ての IT資産のコントロールである」として取り組みが進んでいます。 本シリーズでは、「IT資産運用プロセス」という組織全体で取り組むべき業務プロセスの設計やガバナンスの獲得により、「IT環境の全体最適化」を最終ゴールとして解説していきます。

目次
SLAM(Software License Agreement Management)講習
SLAM – Oracle 講習

今週は「冬晴れ」-穏やかに晴れ渡った冬の日―だそうです。
気がつけば、もう冬なんですね。寒っ!
冬は乾燥して喉や鼻がやられるので苦手です。特に長時間のおしゃべりをすることが多いので、冬はマスクをして喉の乾燥防止に努めています。喉の乾燥や冷えが線毛運動を阻害し、ウイルスが侵入しやすくなるのだそうです。

さて、防止といえば、相変わらずライセンス監査でベンダーに主導権を握られてしまうと大きな損害を被ることが多いので、できるだけ対等の立場で監査の請求に対して交渉したいところですが、具体的な育成方法についてお困りの皆さんに、対策を解説したいと思います。


SLAM(Software License Agreement Management)講習

日本ベンダーマネジメント協会(VMAJ) ではベンダーマネージャ育成のために SLAM講習(https://www.vmaj.or.jp/archives/member)を提供しています。ソフトウェアベンダーと交渉する際は、正確なビジネス情報として契約書や発注情報、Terms & Conditions (利用規約)やライセンスモデルの情報などが必須です。これらを組織として管理するために必要な知識を SLAM 講習では提供しています。 「ベンダー監査対策を進めようにも社内のステークホルダーを説得するのが大変」という課題を抱える運用部門の担当者は意外に多いのです。社内理解を得るためにもSLAM講習を利用できますし、「ツールだけでは対象とするベンダーをコントロールするために十分な情報が集められない・・・」という課題を解決するためにも、ベンダーマネジメント戦略から、あるいは、担当ステークホルダーの「役割と責任」の再定義から着手することが求められます。


SLAM講習により、社内ステークホルダーや経営層の理解を得て、VMO(Vendor Management Office)やベンダーマネージャを再定義し、Oracle監査対策としてベンダーマネージャ育成に着手することができます。

SLAM – Oracle 講習

さらに、VMAJ は、SLAM 講習のオプションとして Oracleベンダーマネージャの育成およびOracle監査対策向けの「SLAM - Oracle講習」を開発し、提供を開始しました。

SLAM – Oracle 講習は、Oracleベンダーマネージャ育成に必要となる基礎知識を獲得できる講習です。
ベンダーマネージャは、Oracle 社の契約体系、ライセンスモデルなどを理解し、契約条件やライセンスを交渉し、自社にとって望ましい状態をコントロールできなければなりません。
そのためには自社が契約した契約条件を正確に理解し、Oracle社 が提示する条件の解釈を理解し、その違いや、自社にとっての Oracle 製品の価値と対価の妥当性をもって Oracle 社と自社の利益バランスを最適化することが必須となります。

    【Oracleベンダーマネージャの課題】
  • Oracle社の契約は1組織あたり多い場合は数十から数百にのぼり複雑化します
  • Oracle社の契約条件はユーザーの契約ごとに異なります
  • 契約書だけではなく、Ordering Document の条件で制限されます
  • Oracle社主導で契約統合すると未使用ライセンスの保守支払いが増加します
  • Unlimited 契約にはユーザーごとの制限が定義されています
  • 自ら把握していないと不要な請求書に対して支払いが増えます
  • 自ら交渉できないと不公平と思える条件を受け入れざるを得ない状態になります
  • 戦略をもたないと不要なライセンスをターミネートできなくなります

SLAM – Oracle講習は、これらの課題に対して具体的なベストプラクティスを学び、対策のアクションプラン策定を可能とします。
Oracle監査対策を考えている、あるいは、Oracleベンダーマネージャの育成を考えているという場合は、ぜひ、一度 VMAJ の講習を確認してみてください。

ベンダーマネージャの社内育成とアウトソーシング
グローバル市場では、特定のベンダーに特化したベンダーマネージャのアウトソーシングサービスやコンサルテーションなどが多数存在しています。特にOracle社の契約は複雑で、専門的知識が要求されますので、この分野の専門コンサルティング会社の増加が顕著です。しかし、サービスの品質はまちまちですので注意も必要です。

これらの課題を経営層に対して理解を促し、現場の取り組みを支援する組織としてベンダーマネジメントの啓蒙から教育、ベンダーマネージャ同士の横の繋がりをもって、より良いベンダーとの関係性を構築するためのパートナー戦略や、契約交渉力を身に着けるために「一般社団法人 日本ベンダーマネジメント協会」
https://www.vmaj.or.jp)が発足されました。
日本ベンダーマネジメント協会では「Oracleライセンスたな卸しサービス」などもグローバル市場のOracle専門コンサルティング会社との連携サービスなどをご紹介しています。自社のOracleライセンス契約の状態に不安がある方は、日本ベンダーマネジメント協会に問い合わせることをお勧めします。

日本ベンダーマネジメント協会では、ベンダーマネージャ育成や、新時代に求められるVMOの定義を可能とする「ソフトウェアライセンス契約管理講習:SLAM(Software License Agreement Management)」
https://www.vmaj.or.jp/archives/member)(Oracleライセンス契約管理オプションあり)を、 VMOやSLO管理ツールの運用アウトソーシングのためのRFP策定の定義の教育などを講習としても提供していますので、ご利用ください。

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コメント

筆者紹介

武内 烈(たけうち たけし)
1964年生まれ。
一般社団法人
日本ベンダーマネジメント協会
代表理事
ITIL Expert、IAITAM認定講師

IT業界では主に外資系ソフトウェアメーカにおいて約25年間の経験を持つ。
技術的な専門分野は、ネットワークオペレーティングシステム、ハードウェアダイアグノスティック システム、ITマネジメントと幅広い。大手外資系IT企業ではプロダクトマーケティングスペシャリストとして、ITマネジメントの分野で、エンタープライズJavaサーバー(WebLogic、WebSphere)、SAP、Oracle、ESB(Enterprise Service Bus)などからWeb Serviceテクノロジーまでの管理製品を手掛ける。
IT 資産ライフサイクル管理プロセス実装のためのAMDB・CMDB 製品開発プロジェクト、データセンターのCMDB およびワークフローの実装プロジェクト、IT資産管理(クライアント環境) MSP のサービスプロセスの開発・実装プロジェクト(CMS/サービスデスクを含む)、ライセンス管理のためのSAMプロセスおよび自動化テクノロジー (CMS/サービスデスク)の設計・実装プロジェクトなど多数のプロジェクト経験を持つ。
IT資産管理のポリシー、プロセスを、どのように自動化テクノロジーに結び、ITサービス管理戦略やロードマップとの整合性を取りながらIT資産管理プログラムを実行性の高いものにしていくのかのコンサルティングを得意とし、大手組織におけるIT資産管理プロセスとサービス管理プロセスの統合プロセス設計、自動化設計、実装プロジェクト、IT資産管理プログラムの運用教育の実績多数。

 

【ホームページ】
一般社団法人
日本ベンダーマネジメント協会
www.vmaj.or.jp/
【情報】
Twitter( @VMA_Japan)


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