- 目次
- インシデント管理・問題管理で非IT業務を改善する
- 「インシデント管理」「問題管理」をITシロウト目線で説明する
- 「インシデント管理」「問題管理」の効果
1. インシデント管理・問題管理で非IT業務を改善する
IT業務の改善に、ITサービスマネジメントのスキルや勘どころを活かす。
「そんなことできるんですか?」
「はい、できます!」(即答)
私はこれまで30以上の職場の業務改善のお手伝いをしてきました。
まずは、そこで見てきた「あるある」をご紹介します。
【図1】非ITの現場では意外とできていない/知られていないこと(クリックで拡大)
この5つは、いずれもシステム管理者からしてみれば当たり前のこと。
ところが、非ITの現場では意外とできていないし、知られていないのです。
どうです? なんか、システム管理者が腕を振るう余地がたくさんありそうでしょう?
中でも、
▼トラブルを「インシデント」と「問題」に分けて考える
▼「既知」「未知」という考え方
これができていなくて、毎回同じようなトラブルやクレームでドタバタ、あたふた、ギクシャクしている職場は少なくありません。
さも、それが生まれて初めて遭遇した事象であるかのごとく…
これ、「インシデント管理」「問題管理」で解決できますよね!
2. 「インシデント管理」「問題管理」をITシロウト目線で説明する
とはいえ、ITサービスマネジメントのやり方をそのまま説明してもダメです。
「ITナンチャラ? あー、だめだめ。ITとか苦手ですし」
「サービスマネジメント? うち、サービス業じゃないので関係ないです」
食わず嫌い、聞く耳もたれずでハイ終了。
非ITの現場の人たちにわかりやすく説明する。すなわち、ITシロウト目線への歩み寄りが大事です。
たとえば「インシデント管理」「問題管理」。
私は、非ITの人たちにはこう説明しています。
「しのごの言わずに、とっとと何とかせい!」
現場で飛び交う、無慈悲なこのセンテンス。このシンプルな1行、「インシデント管理」「問題管理」の重要性を示してくれています。
【図2】10秒で分かる!「インシデント管理」「問題管理」(クリックで拡大)
ひとつ実例を。
以前、私が娘と一緒にある水族館に行ったときのお話です。
券売機にお金を入れて、入場券を買おうとしました。
ところが、機械が不具合を起こし「使用中止」に。あわててボタンを押して係員を呼びます。
「どうしました?」
裏から係員が2人飛び出し、すぐに対応してくれます。
…ところが、工具を取り出して修理を始めてしまった。
あーでもない、こーでもないと言いながら故障部位を探して、ナントカ直そうとする。
その間、私と娘はほったらかし。
「…あの、お金ここにおいておきますので中に入れてもらってもいいでしょうか?」
その申し出で、「はっ」となった係員2人。
入場券を手渡ししてもらい、私たちはようやく中に入ることができました。
このケース、係員たちに悪気はありません。
機械の故障をなんとかしようと頑張った。すなわち「問題対応」に一生懸命になった。
一方、お客である私がしてほしかったのは「水族館に入れてもらうこと」。いわゆる「インシデント対応」。
ここにギャップがあったわけですね。
この事象を「しのごの言わずに、とっとと何とかせい!」に当てはめると…
・機械が故障して入場券が発行できません:これは「しのごの」の部分です。
・とりあえず水族館に入れてもらえませんか?:これは「とっとと何とかせい!」の部分です。
どちらの対応も大事。
ところが、私たちはなぜか「しのごの」の部分、すなわち根本解決に一生懸命になってしまいがち。
あるいは、「とっとと何とかせい!」の部分、すなわち暫定対応だけをひたすら続けて疲れてしまいがち。
そのうち、暫定対応が当たり前になって来る日も来る日も非効率な運用を続けていたりする。
こんな無理・無駄とサービス低下がそこらじゅうで繰り広げられています。
3. 「インシデント管理」「問題管理」の効果
まずはチーム共通の「インシデント管理簿」を作って、トラブル・クレーム・イレギュラー対応などの事象と対応履歴を記録しましょう。
未知の出来事を、組織の既知に変えていく。
最初は「なんのために?」って顔をされることもありますが、3ヶ月も続けるとじわりじわり効果を実感してもらえるようになります。
以下は、私が業務改善のご支援をしている、大手アミューズメント系企業の営業管理部門の事例です。
この職場では、「インシデント管理簿」の記録に加え、週1回「インシデント会議」を実施しメンバー全員でインシデントの確認・対応方針の協議・問題の検討を行うようになりました。
「インシデント管理は、改善の芽を見つけるための命」
「インシデント対応の経験が、私たちのナレッジに」
「一人で悩まなくて良くなった」
「仕事のやり漏れ、やり忘れがなくなった」
など、メンバーから効果を実感する声があがってきています。
まずは「インシデント管理」「問題管理」から、非ITの現場に提案してみませんか? そこで効果を出せば、システム管理者の株もググっとあがります。
感謝されるシステム管理者って、素敵ですよね!
【図3】大手アミューズメント系企業 営業管理部門の事例(クリックして拡大)
今回はここまでです。
次回は、「構成管理」「リリース管理」を応用した非ITの現場の改善事例をお話します。
しつこいですが、今回も最後に…
「皆さん、ITサービスマネジメントができるって凄い事です。自信もってください!」
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