- 目次
- 構成管理・リリース管理で非IT業務の運営をスムーズに
- 事例:住宅展示場のイベント運営の品質向上
- 考察:印西市の花火大会中止問題に見る「リリース管理」
1. 構成管理・リリース管理で非IT業務の運営をスムーズに
前回(第3回)では、「インシデント管理」「問題管理」を非IT業務の改善に応用した事例を見てきました。
今回は「構成管理」「リリース管理」にスポットライトを当てます。
・ 構成情報を把握してアップデートする。
・ 新たな業務やサービスを始めるときの手順を定め、抜け漏れがないよう確認する。テストする。
システム管理者であれば、なんら目新しくもない一連の手続き。
これまた、世間一般の会社では意外とできていません。
「ああ。あれが足りない!これが見つからない」
「新しい業務、立ち上げたはいいけれど考慮漏れが多すぎて回らない…」
「そもそも新しいサービスの存在を、誰にも知られていない…」
こんな、叫び声が今日もどこかの現場で元気に響き渡っています。
2. 事例:住宅展示場のイベント運営の品質向上
Lots of paper silhouettes of houses for neighborhood concept
関西の注文住宅メーカA社(社員数50名)での改善エピソードを。
住宅メーカにとって、週末に開催する住宅展示場のイベントは重要行事。
着ぐるみのキャラクターがやって来た子どもに風船を配ったり、ヨーヨーつりや輪投げなどの出店を並べたり、景品つきのクイズラリーをやってみたり、どのメーカも工夫を凝らして集客にしのぎを削っています。
住宅展示場のイベントは、いわば新規顧客獲得のための要。
ところが、A社ではイベントの運営準備がすべて、1人のパートタイマーの女性に依存していました。
備品はどこにあるのか?
在庫はあるのか?
そもそも、何を準備したらいいのか?
すべて彼女の頭の中、そして勘。
彼女が休もうものならもう大変。
「景品はどこにあるの?」「あ、アンケート用紙が足りない」「ボールペンがないんですケド」
慣れない社員があたふた。
他のメーカの展示場は、開場の30分前にはお客さんを迎え入れる準備が整っているのに、A社だけは右往左往している。
なんとかしてイベント開始。
ところが…
「この風船、うまく空気が入らない…」
試しに今までとは違う風船を買ってみたのはいいけれど、社員がどんなに頑張って息を吹き込んでもなかなか膨らんでくれない…
お客さんは苦笑い。
…とまあ、さんざんな状態でした。
そこで、A社では「構成管理」と「リリース管理」をすることに徹底。
【構成管理】
・構成管理簿を作成。イベントに必要な備品と保管場所をリストアップ。
・担当者を決め、構成管理簿を毎週月曜日に更新する運用に。在庫の確認と補充を徹底。
【リリース管理】
・新しいイベントを行う場合の、事前シミュレーションの実施とリリース判定会議の実施をルール化。
これにより、イベントをスムーズに準備・運営できるようになりました。
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3. 考察:印西市の花火大会中止問題に見る「リリース管理」
Firework Group on black background
2016年8月27日。千葉県印西市の花火大会が開始時刻後に突然中止される騒動がありました。
原因は、打ち上げ花火の設置場所の整備不備。
本来、主催者(市側)が行うべき設置場所の整地がなされておらず、雑草だらけ、ぬかるみだらけの状態だったそう。
当日花火業者が現場に行って唖然。慌てて準備作業をするも開始時刻に間に合わない。そして市による中止判断。
市制20周年を祝う記念イベント。市民の落胆と怒りは相当のものだったようです。
さて、この問題。「リリース管理」の不備そのものです。
主催者側が設置場所の整備確認というタスクを認識し、視察なりテスト(シミュレーション)なりしていれば防げたはずです。
担当者に花火大会の運営ノウハウがなかったこともこの問題の原因の1つとして指摘されています。
前任者からノウハウや観点が引き継がれていなかった。
今回の教訓を「インシデント」として記録し、「インシデント管理」「問題管理」につなげていってほしいと切に願います。
私たち、システム管理者が運営していたら、こんなトラブルにはならなかったに違いありません。
今回はここまでです。
次回は、非ITの人たちは意外とできない「測定→報告→改善」についてお話します。
「皆さん、ITサービスマネジメントができるって凄い事です。自信もってください!」
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