「運用ゲンジン」が提供する「運用設計のポイントと管理ドキュメント」

【第22回】 イベントは今の運用状態を現す!!

概要

2005年10月から2006年3月に、システム管理者の会サイトの前進である”カイゼン活かす”サイトに掲載され、その後も根強い利用がある「運用規約、運用設計書」の筆者である「運用ゲンジン」ことITシステム運用コンサルタント沢田典夫氏のコーナーが復活します。今回は、より具体的な内容で運用設計のポイント、運用の管理項目とプロセス、運用設計基準書内容等について、テンプレートを多数公開していただきます。
皆さんの運用カイゼンにお役立てください。

今年の猛暑も嘘のようにアットいう間に今年も残り一ヶ月半になりました。もう少しすれば話題は今年はどんな年でしたか?とか、来年も・・・・とか、街の様子もクリスマスや年末年始に模様替えが始まり、カレンダーの日数はあってもなぜか仕事の日数は半分くらいしかない気がするし、後半はほとんど消化試合の感すらしますが、できることなら早く景気が回復し活気のある年末年始であってほしいですが、一方では年末年始に向けてそろそろシステムの切り替えのめの準備やら引き継ぎ、訓練などで、追い込みに入ってる方々も多いのではないでしょうか?

個人としては連休はありがたいのですが、情報部門としては連休はそういったイベントが集中するのが当たり前になり、イベントだけでなく、家族や大切な相手からもブーイングの嵐も集中したり、また、普段の時でも夜中のトラブル対応や夜間作業とかで友人と飲みに行くことも段々減り、気づいたら友人も失ってたり、若いころはそんな時情報部門は損だな~って思うこともよくありました。みなさんはどうですか?

 

このような大きなイベントの時こそ日ごろの運用の腕の見せ所です。過去のルール、取り決め、手順化やドキュメント化、周知、訓練などがどれだけ関係者に癖が浸透してるか、整然と行われてるか、今の運用状態を判断する材料にもなります。大きなイベントが過ぎてしまうと日ごろの作業につい流されやすいのですが、その時に足りなかったことが日常作業にも足りなくなることが多いので、こういったイベントでの教訓や経験を改善に活かし、運用をよくするためのイベントであってほしいと思います。

さて、能書きはこのくらいにして、今回も前回に引き続き、消耗品管理、問い合わせ管理、受け入れ管理での運用基準書の参考目次を整理してみました。

運用管理体系

掲載資料①

消耗品管理

掲載資料②

掲載資料③

消耗品管理のワンポイント

  • 消耗品は多くても少なくてもだめ
  • 使用実績をしっかり把握し、無駄な管理コストを削減
  • 安定供給するためには突発的なトラブルや特定月・例外月の使用情報を把握
  • 帳票の使用量の単位は枚数より厚さのcm。あるいは使用/未使用ケース数で管理
  • 使用時や持ち出し、入荷や返却時に記録(記録漏れが思わぬ大事に)
  • 情報の漏洩防止の観点から、極力帳票や媒体出力はないほうがいい

問い合わせ管理

掲載資料④

掲載資料⑤

問い合わせ管理のワンポイント

  • 問い合わせを減らすためにはよくある質問のQ&A集を配布(資料、Web)
  • 問い合わせ受付票デザインは質問や内容を確認あるいは情報が取得しやすいよう、問診しながら誘導できるデザインに
  • 問い合わせ票が単に記入するだけでなく、選択や確認・回答がしやすいデザインに
  • 依頼作業は極力運用改善で削減
  • 気付いたらつまらない問い合わせが結構増えてる⇒内容や件数を蓄積し、多い内容からパターン化
  • 組織変更時期や運用してから時間の経過と共に利用者との取り決め事項が忘れられる⇒定期的なルール確認や担当者教育
  • 問い合わせには確認のための問い合わせと、作業や処理の依頼のための問い合わせがある
  • 受付時には簡単なキーワードで検索できる検索ツールを用意
  • 問い合わせに回答したら終わりではなく、次に役立てられるよう問い合わせに関するDB化を

受け入れ管理

掲載資料⑥

掲載資料⑦

受け入れ管理のワンポイント

    • システムの品質、運用品質、運用作業負荷、リリース時での精度はいかにリリース前の早い段階から運用設計、運用構築、運用準備、運用訓練を手掛けたかで決まる
    • システム規模が大きくなればなるほど、運用設計担当、受け入れ管理担当、運用準備担当のスキルが重要に
    • リリースまでの工程で必要な作業事項、確認事項、設計事項、準備・作成ドキュメント、管理情報を明確に
    • システムができちゃってるから受け入れするしかないという受身やガードする気持ちは捨てる
    • システムは運用の知識が入ってこそいいシステムになる
    • 楽するためにできてきたシステムの状態や運用への影響をしっかり検査
    • 集約するためにも運用情報や引継ぎが直接関係者に行われないように

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筆者紹介

沢田 典夫(さわだ のりお)

1951年生まれ。運用との出会いは某銀行でのオペレータに始まり、7年間富士通 フィールドSEとして多くのメインフレームの導入の企画提案、移行、OS試験、環 境設計や構築~チューニング、また業務システム開発などを手掛ける。また、某大手 トレーディングスタンプ会社で13年間、コンピュータの導入、業務システムの開発 (物流・販売・財務・経営)および運用を行い、この時に開発の標準化、自動運転環境構築、運用設計や運用改善、また、運用ツールの開発などを手掛け、運用の基盤を 確立する。その後BSP一期生として入社し、運用診断や運用企画、また、運用設計 を重視した運用ツールの導入などを行い、コンサル事業の基盤作りを行う。その後運用コンサルとして独立し、これまでの経験を生かし、運用する人の立場に立ち、ま た、運用改善は永遠のテーマを掲げ、16年間一匹狼で運用と向き合ってきました。

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