概要
2005年10月から2006年3月に、システム管理者の会サイトの前進である”カイゼン活かす”サイトに掲載され、その後も根強い利用がある「運用規約、運用設計書」の筆者である「運用ゲンジン」ことITシステム運用コンサルタント沢田典夫氏のコーナーが復活します。今回は、より具体的な内容で運用設計のポイント、運用の管理項目とプロセス、運用設計基準書内容等について、テンプレートを多数公開していただきます。
皆さんの運用カイゼンにお役立てください。
年明けから早くも2月、景気は昨年と比べて少しはよくなってきてるのでしょうか?、また、昨年の猛暑の反動でこの冬は暖冬になってるのでしょうか?というのは、この原稿を書いてるのは掲載よりだいぶ前に用意している関係で、この原稿が掲載される時を予想しながらこの文面を書いているんですが、いざ書き始めたら、ひと月くらいならまだしも、さすがに数ヶ月前ともなると景気や季節感は全く想像すらつかず、出だしをどうしようかと内容よりつまらない所で時間を費やしてしまい、仕方なく思ったことをそのまま書いてみました。
半分はその通りなんですが、運用や運用設計ではイメージ(想像)がすごく重要だということを言いたかったのですが、上流でのプロセスや機能をきっちり組み立たてる業務とは異なり、下流の運用では、人の動きにしても誰がどのような時にどう動くかとか頭の中で作業場所をイメージし、いろんな動作をシミュレーションしながら頭の中で検証し、作業を組み立てたり改善を行うのですが、検討することが多岐に渡るとイメージする範囲も広く、頭が混乱することもしばしば。
運用設計ではこうした頭の中でのイメージ作りがほとんどで、仮想作業場所で人が何のドキュメントを使って誰がどのような動きをするかが作業種類ごとにはっきりイメージできるかで、はっきり見えない部分をはっきりするまで検討し、頭の中でシュミレーションを何度も繰り返しながら作業を徐々に組み立てていきます。文面だけではなかなか作業の動きや状態、また、性格で動きが異なる人ごとに表すことは難しいのですが、仮想の世界ではそれが自在に動いてくれます。まるでアバターの世界ですが、こうしたイメージトレーニングは運用ではもっとも基本で大切なことですが、運用設計でも日ごろの作業をどれだけ仮想の世界で動きがイメージできるかであり、現在の作業がそのままイメージで動かせれば、その中で改善した場合の動きを仮想の中でシミュレーションしながら検証もできるし、作業がどう変化させられるかも仮想の世界で作り上げることもできます。運用設計力はイメージ力でもあり、今後運用設計をされる方は日ごろからこうしたイメージトレーニングをやってみてはどうでしょうか?
そんな運用設計の仕方やイメージトレーニングを交えての実践訓練など、反響があるよでしたら今後運用設計者を育てるためのコース教育やオンサイト教育もやっていければと思います。ぜひみなさんの意見をいただけたらと思います。
さて、いよいよシリーズも大詰め、今回は外注管理、機器・設備管理、入・退出管理、運用環境管理での主な管理事項と管理ドキュメントのまとめに入ります。
運用管理体系
掲載資料①
外注管理
掲載資料②
掲載資料③
掲載資料④
外注管理のワンポイント
- 外注への依頼作業範囲、作業事項、作業内容、責任範囲を明確に
- 指示や引継ぎは必ずドキュメントで相互確認
- 新規・変更作業の周知・訓練期間を十分に
- 指示書、手順書、マニュアルの最新化
- 指示書、手順書、マニュアルの不備によるミスの責任は依頼側にあると思え
- 外注と社員との役割を明確に
- 運用改善が積極的に行える環境や風土作り
- 定期的なトラブルや問い合わせ対応の訓練
- キャリアパスによる評価制度
機器・設備管理
掲載資料⑤
掲載資料⑥
掲載資料⑦
機器・設備管理のワンポイント
- 最初はしっかりしているドキュメントも時間が経てば使えないドキュメントに
- 機器・設備などはインフラが受け持つことが多いが、業務やシステム別に開発が受け持つ場合は運用側で全体を管理
- ちょっとした動きの変化に気づいたら早期に情報を仕入れ、管理情報の変更漏れがないように指示や行動
- 環境類のドキュメントの変更部署、変更者を明確に
入・退出管理
掲載資料⑧
掲載資料⑨
掲載資料⑩
入・退出管理のワンポイント
- 入・退出でのルールはセキュリティーポリシーの基に
- 作業や行動は役割や権限に基づいて取り決め
- 全ての作業を情報漏洩の可能性で検証し改善
- 定期的な情報漏洩想定訓練の実施
運用環境管理
掲載資料⑪
掲載資料⑫
掲載資料⑬
運用環境管理のワンポイント
- インフラおよび実績管理との役割線引き
- 運用環境は効率化や運用が作業しやすいよう、運用が中心になって管理すべし
- 日々の運用作業をより運用ツールの活用で効率化と信頼性向上に結びつける改善を
- 様々なログはただ収集するだけでなく、実態を把握しより効率化するために分析・周知、また、運用設計に役立てる
- 運用ツールの一日の動きと運用作業が明示されたタイムチャートを用意
連載一覧
筆者紹介
1951年生まれ。運用との出会いは某銀行でのオペレータに始まり、7年間富士通 フィールドSEとして多くのメインフレームの導入の企画提案、移行、OS試験、環 境設計や構築~チューニング、また業務システム開発などを手掛ける。また、某大手 トレーディングスタンプ会社で13年間、コンピュータの導入、業務システムの開発 (物流・販売・財務・経営)および運用を行い、この時に開発の標準化、自動運転環境構築、運用設計や運用改善、また、運用ツールの開発などを手掛け、運用の基盤を 確立する。その後BSP一期生として入社し、運用診断や運用企画、また、運用設計 を重視した運用ツールの導入などを行い、コンサル事業の基盤作りを行う。その後運用コンサルとして独立し、これまでの経験を生かし、運用する人の立場に立ち、ま た、運用改善は永遠のテーマを掲げ、16年間一匹狼で運用と向き合ってきました。
コメント
投稿にはログインしてください