株式会社ビーエスピーソリューションズ
運用プロフェッショナルサービスグループ
佐藤陽一
概要
現代人が社会生活を送るうえで(特にビジネス活動を実践する場面)、文書は「人と人とを繋ぐ重要なコミュニケーション手段」であり、時によっては、「意思決定手段」でもあります。
ビジネス文書を作成する際にも「文は人なり」と誤解し、自分の世界に埋没したような「文」を作成するケースが多々見受けられます。しかし、ビジネスの場面では、「文書」は上記のように重要な位置付けを担いますので、論理的に構成され、結論が明確に表記されたものを作成する必要があります。
当ページでは、社内現場で役立つ「文書作成」の基本をシリーズで掲載し、読者の皆さんが、ホンモノの文書作成力を身につけるポイントを提示いたします。
ビジネス現場での文書作成の重要性
現代人が社会生活を送るうえで(特にビジネス活動を実践する場面)、文書は「人と人とを繋ぐ重要なコミュニケーション手段」であり、時によっては、「意思決定手段」でもあります。 ビジネス文書を作成する際にも「文は人なり」と誤解し、自分の世界に埋没したような「文」を作成するケースが多々見受けられます。しかし、ビジネスの場面では、「文書」は上記のように重要な位置付けを担いますので、論理的に構成され、結論が明確に表記されたものを作成する必要があります。
しかし、ビジネスの現場では、以下のような話をよく耳にします。
「日本人の書く、設計書は何を書いているのか理解できない。もっと具体的に何をしたいのかを書いてほしい」(海外で日本企業と接する機会の多い外国人SEの話)
「RFP(見積もり要求仕様)を受け取っても、目的や実施したい内容が不明で、再度訪問してヒアリングしなくてはならなく、2度手間だ」(大手SIヤーA社の受注担当者の話)
「社内の部下から上がってくる膨大な業務報告書の内容を全部読むためには、週の半分の工数をとられるので、どうしても確認が甘くなる。もっと簡潔明瞭に文書を作成してくれたらなーーーと思う」(製造業B社の情報システム部長の話)
「メーカからの提案資料が膨大でどこをどのように確認したらよいかわからない。要約があれば助かるのになー」(金融業C社の情報システム企画担当者の話)
「忙しい時に、わけのわからないメールを送ってこられても、何をすればいいのかもわからなくて困ってしまいます。社内のおじさんの文書はまわりくどいのが多くてこまります」(流通業D社の情報システム ヘルプデスク担当者の話)
上記の話のなかには、二つの課題が潜んでいます。
一つ目は、文書は「人と人とを繋ぐ重要なコミュニケーション手段」であり、時によっては、「意思決定手段」でもあります。その目的からいっても「文書」には、「あいまいさ」があってはならないものです。特に「日本語のあいまいさから来る文書表現の誤解」は重要な問題を引き起こします。
「うらにわにはにわとりがいる」。この文章をわかりやすく漢字を用いて書いて見ると
- 裏庭には、鶏がいる。
- 裏庭には、二羽鳥がいる。
- 裏に、鰐、埴輪、鳥がいる。
- 裏庭に、埴輪取りがいる。
等に表現されます。(ちなみにこの文章には800通りの表現があるそうです)
これは、ほんの一例で、日本語は表現によって色々な認識がなされることがおわかりになったかと思います。
ビジネス文書での「あいまいさ」は
- システム仕様の伝達違い
- 業務処理依頼のコミュニケーション不足による障害発生
- 社内意思決定時の判断違い
等の致命的なミスを生む温床にもなります。
このような事態を招かないための「文書」作成はどのように実施すべきでしょうか??
二つ目は、「結論のない(伝えたいことが伝わらない)」文書がまねく、ビジネススピードの低下や業務阻害です。
- 結論はなにか
- 問題はなにか
- そのためには何をすべきか
といった、判断すべきことを明確に表記し、それについての補則を詳細に補う形式の文書が、一刻の猶予も許されないビジネスの世界では、重宝されます。
このような文書を短期間にまとめ、表現するためのテクニックをどのように身につければよいのでしょうか??
このページでは、「社内で役立つ文書作成のポイント ~ ビジネスを成功に結びつける文書とは ~」 をタイトルとして、ビジネスの現場で活用できるテンプレートを提供していきます。
第1回は、
- 文章作成時のヒント
- 文書作成時のテクニック
を提供いたします。
文書作成時のヒント
文書は作文ではない
自分の思ったことをだらだらと書いたものは、文書とは言えない。客観的事実にもとづき 自分の意見をしっかり主張したものが文書である。文書とは、あるテーマに対してはっきりと、YESかNOかを表明することである。だから常にYESかNOかを表明できるように問題提起をしなくてはならない。
問題提起の仕方
YES,NOを表明できる問題提起の仕方を、例をもとに説明する。
たとえば、課題として「会社のカイゼン」というテーマを与えられていたとする。そのときに「働きやすい会社にするためにどうすればいいか」と問題提起したとしよう。この「どうすればいいか」という問いかけは、文書を書く場合には基本的にしてはいけない。YES,NOの表明ができず、だらだらと話が進み、へたをすると論点がずれてしまうからだ。
では、「現状の職場環境のままでいいのか」と問題提起したらどうか?
そんなに違いがないように思えるかもしれないが、大きな違いがある。YESかNOかを表明できるからである。NOだと表明したとする。そうすれば、なぜNOなのかを説明することになる。そして、どのように変更していくかを論ずることになる。YESかNOかを表明できる問題提起をすれば、続きが自然な流れで書きやすくなり、論理も明確になる。
問題提起の良し悪しこそが、文書の成果を決定する とも言える。
型を覚える
文書を書くことに慣れていなければ、常に4部構成で書くようにする。この型を覚えるのが重要である。
第1部は、「問題提起」を行う。問題点を整理し、これから述べようとする内容に主題を導く。 この部分には全体の10%を費やす。
第2部は、「意見の提示」を行う「確かに~だ」と反対意見を提示する。これにより、論が深まり、客観性が増す。いくつも反対意見を提示する必要はなく、ひとつの反対意見を丁寧に提示すればよい。そして、「だがしかし~だ」と続けて、自説の予告を行う。この部分は、全体の40%を費やす。
第3部は、「自説の展開」であり、文書中のクライマックス。なぜYESもしくはNOなのかの根拠を明示する。できるだけ具体的であったほうがよい。気をつけることは、具体例の羅列にならないようにすることで、ここでもひとつの意見について詳しく論じることが重要である。この部分にも全体の40%を費やす。
第4部は、「結論」だ。YESかNOかを断定する。この部分は、全体の10%を費やす。努力目標や余韻を持たせるような締めの文は不要。YESかNOが入り混ざった折衷案も好ましくない。
まずは、この型をしっかり覚えることが重要で、そうすれば、たとえ型を崩しても論理的な文書が書けるようになる。まず、型を覚える。
3WHAT、3W、1Hでネタ集め
よく、文章は5W1H(WHEN,WHO、WHERE、WHY、WHAT、HOW)を考えて書けと言われる。しかし、これは作文のためのものであって、ビジネス文書には通用しない。
文書の場合は、3WHAT、3W、1Hを考えることを勧める
3WHATとは、
- それは何か(定義)
- 何が起こっているか(現象)
- 何がその結果起こるのか(結果)
3Wとは
- WHY(理由、背景)
- WHEN(いつからそうなのか、それ以前はどうだったか = 歴史性)
- WHERE(どこでそうなのか、ほかの場所ではどうなのか = 地理性)
1Hとは
- HOW(どうすればいいか = 対策)
例として、「コミュニケーションの低下」をテーマにした場合、
コミュニケーションの低下とは何か(定義)
今、どのようなことが起こっているか(現象)
その結果、日本社会や自社ではどうなっていくか(結果)
なぜ、コミュニケーション低下が起きるのか(理由、背景)
いつごろから今のようなコミュニケーション低下は始まったか、それ以前はどうだったか(歴史性)
よその国やよその会社ではどうか(地理性)
どうすればコミュニケーション低下をカイゼンできるか(対策)
の構成がベターである(但し、すべてを考える必要はなく、「定義」・「理由」・「歴史性」だけで着想が得られたら、その段階で中断してもかまわない)
文書作成のテクニック編ー1
論理的な文書を書くテクニック
- 文書の具体的なテーマを明らかにし、結論を短く説明する
- なぜ、そのようなテーマを取り上げたのか、どのような問題があるのか、問いかける
- そのテーマについての一般的な意見を説明する
- 問いを検討し、自分の主張が一般的な意見とどう違うが、具体例をあげつつ説明する
- 要点をわかりやすくまとめる
一文ごとをわかりやすくするテクニック
- 短い文にして、修飾語をあまり使わず、主語・述語の関係をはっきりさせる
- 「こそあど」言葉をできるだけ使わずに説明する
- 「だから」「なぜなら」「しかし」といった接続詞を利用して前後の文の関係を明らかにする
次回以降は、以下の内容を予定しています。
- こんなビジネス文書は失敗だ文書構成方法、構成案の具体的作成法
- わかりやすい文書とは
- 文書の内容を深めるためのテクニック、練習法
- 文書レビューの方法
- RFP(見積要求仕様書)の書き方、テクニック
- 社内企画書の書き方、テクニック
- 業務報告書の書き方、テクニック
- 詫び状の書き方、テクニック
- メールの書き方 テクニック
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