現場で役立つ文書作成のポイント

第8回 RFP(見積要求仕様書)の書き方、テクニック

概要

現代人が社会生活を送るうえで(特にビジネス活動を実践する場面)、文書は「人と人とを繋ぐ重要なコミュニケーション手段」であり、時によっては、「意思決定手段」でもあります。
ビジネス文書を作成する際にも「文は人なり」と誤解し、自分の世界に埋没したような「文」を作成するケースが多々見受けられます。しかし、ビジネスの場面では、「文書」は上記のように重要な位置付けを担いますので、論理的に構成され、結論が明確に表記されたものを作成する必要があります。
当ページでは、社内現場で役立つ「文書作成」の基本をシリーズで掲載し、読者の皆さんが、ホンモノの文書作成力を身につけるポイントを提示いたします。

RFP(見積要求仕様書)の書き方、テクニック

今回より、実践編にはいります。
第1弾は、RFP(Request for Proposal)の書き方です。日本語では、「見積提案依頼書」「提案依頼書」「見積要求仕様書」などの呼び方があります。以下、RFPの作成に当たっての留意点、さらに詳細な記述項目とその内容について説明します。

考えを伝えることの難しさ

人間同士のコミュニケーションにおいて、聞き手が話し手の内容を完全に理解することは困難だといわれています。例えば、話し手が考えていることが100とすると、それを言葉にして口から出せる内容は、30%、聞き手に届くのはまたその30%で、話し手が考えていることの9%しか受け取っていないといいます。理解するための聞き手側の努力は当然必要ですが、問題は、考えている内容の30%しか言葉にできないという話し手側に大いにあります。
 では、どのようにして、自分の考えていることをより正確に言語化すればよいのでしょう。

私たちは、自分以外の世界を自分の経験、自分の枠の中から観察しています。それだけではなく、積極的に自分の枠を変貌させてまで、外界を確実なものに信じようとします。
そうしたことを前提に、書き手、話し手の立場においては、読み手、聞き手側の常識に配慮すること、そして意味を先に受けいれさせず、新しい解釈を与えない用心深さをもつことが必要です。

なぜ、相互理解が成立しないのか。その原因は、話し手側の文書力に起因していることが少なくありません。言語化の表現があいまいだから、局面が進んで具体的になって初めて、自分の考えと違うと気づくようになるのです。
聞き手側は「それなら最初からそのように言ってほしい」と思うのが当然でしょう。
誤解のないRFPを書くことは、それほど難しいものではありません。
要点が分かっていれば、必ず書けるようになります。

RFP作成の書き方、テクニック

誤解を招かないRFPを作成するには、一定の法則があります。
これまで、このシリーズで触れてきたことと一部重複しますが、あらためて10ケ条に整理します。

 

  1. 文章は短くする。短いほど分かりやすい。人の記憶は限界があるので20単語以上の文章はさける。
  2. 単一の文章で二つ以上の要求を表現してはならない。文章中に「そして」を使うことを避ける。
    それは、二つ以上の要求やコンセプトが議論されていることを意味するからである。
  3. 読み手がすべてを理解できる確信がない限り、「業界用語、略語」を使用してはならない。
  4. 情報の順序を表現するためにはできるだけ、箇条書きを活用したり、表や図を用いたりする。
  5. 一貫した用語を用いる。特に専門分野の異なった人々が一つの内容をまとめる場合は、データ・デイクショイナリ(用語集)を準備し活用するとよい。
  6. 以下の述語には一貫した意味を持たせる。

              「する」                     ・>要求が絶対的であることを意味する
              「べきである」             ・>要求が望ましい場合、しかし絶対的でないことを意味する
              「であろう」                 ・>外部から提供されるであろう何かを示す
              「なければならない」     ・>使用しない。用いる場合「する」と同義とする。
  7. 要求をネスト形式の条件文で表現してはならない
    例えば「もしAであり、または、もしBであれば○○を行い、さもなければ、もしCであれば△△、さもなければ◇◇」といった表現は、非常に誤解を生じやすい。
  8. 受動的でなく能動的に表現する。特に人やシステムのアクションを記述する場合には能動形で記述する。
  9. 関連番号のみの参照を用いてはならない。他の要求、表、図を参照する場合には、参照番号とともに、何を参照しようとしているかを簡単に付記すること。
  10. スペルや文法に注意を払うこと。スペルや文法の間違いは文章の意味を変えてしまう。
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RFPに明記すべき要素

  1. レスポンスタイム
  2. ターンアラウンド・タイム
  3. 稼働率
  4. 要求工期と品質目標
  5. コストについての考え方
  6. 契約方法
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これらの詳細については、文書作成のポイントの域をはなれますので、当サイトの別コーナーとして今後詳細にわたって紹介をする予定です。

 

 

 

次回以降は、以下の内容を予定しています。

  • 社内企画書の書き方、テクニック
  • 業務報告書の書き方、テクニック
  • 詫び状の書き方、テクニック
  • メールの書き方 テクニック
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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ

運用プロフェッショナルサービスグループ

佐藤陽一

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