運用規約、運用設計書

第1回 掲載開始にあたってのご挨拶

概要

システム運用改善一筋に30年!!人生を運用改善にかけた「運用ゲンジン」のノウハウを大公開します。 現場での経験をいかしたカイゼン実行のコツと事例を掲載します。

掲載開始にあたってのご挨拶

皆様、はじめまして。
いよいよITシステム運用ポータルサイトによる『情報提供サービス』がスタートいたしました。
このコーナーを受け持たせていただきます”運用ゲンジン”です。
これから、このコーナーでお会いいたしますので、よろしくお願いいたします。
 

変わらないシステム運用

メインフレームからオープン系になろうとも、また、使う道具やシステムは変わったとしても単に使う道具が変わっただけで、 それらを維持・管理する基本の運用そのものは変わりません。要はそれらの道具をどう人が使い、どう維持・管理するかであり、どんなにいい環境や仕組みを導入・構築、あるいはその環境でどんなにいいシステムを構築したとしても、 それらを維持・管理する運用がしっかりしていなければ、どんなにいい環境やシステムであっても、機能を十分に発揮することはできません。運用は土台であり、また、土地であり、しっかりした基盤の基に木に当たるシステムを構築していかなければ、木は成長しないし、成長させるために手間のかかる煩雑な運用をしなければなりません。 そのような、しっかりした基盤のもとで行う運用であれば、メインフレームもオープン系も運用は同じです。
 
それでは、運用とは、何か???
 
簡単に言えば、企業や団体のビジネスを根本から支えるために、システムの安定運用を行うために
・自動運転させる仕組みや標準化、関係者の管理すること
・日常の操作、役割での作業事項や作業手順、作業方法、確認方法、運用ルールなど、日々ハード/ソフト、システムではできない人が行う全ての作業全体を実施すること
であると考えます。
 
そして、最終的に人のやるべきことは、技術の進歩、また、メインフレームからオープン系になって作業の方法や道具は変わったとしても、変わらないのが運用だと言えます。
 

継承の大切さ

運用は安定運用させるために作られた仕組みや決められた基準、ルール、作業手順、作業方法などに基づいて業務が遂行されますが、 運用として最も大切なことは、そういったことをきちんとドキュメント化し、いつも最新の状態で作業が行われることです。 むしろ、その決め事やルール、作業、基準や規定などの理由や経緯が大切です。環境を作る、ルールを決めるなどは簡単なことで、その時はよくても、時間が経過すれば何でだっけ?ってなるものです。 もしその経緯や理由がはっきりしないと、知ってる人がいればまだ確認は取れますが、いたとしてもこうゆう決め事だからになり、だんだん過去からこうだったに変わり、しまいには根本の理由が分からないに変わり、結果的にそっとしておこうということになります。 その後、ついには誰も手を付けなくなる事態になる可能性のあります。
新しいこと実施することやなにかの改善するにしても、過去からの経緯に基づいて行われるものであり、こうだから、こうゆう決め事だから、こう書いてあるからではなく、それらの経緯を継承していく整備が今の情報部門にとっては一番大切なことだと思います。
 

運用コストを増加させるオープン系運用

昨今では右を向いても左を向いてもオープン系ばやりで、今時メインフレームは考えられないとか、コストが安いからと、その乱立ぶりにはビックリさせられてしまいます。 確かに局所化され、構築はしやすいとは思いますが、そのサーバ台数や搭載ソフト、管理ツールなど、それらを個々に積み上げたらかなり高価で、またメインフレーム並みの信頼性はまだ低く、それらを別々に維持・管理する運用コストを考えれば、構築の仕方や運用体制にもよりますが、以前と比べれば運用コストは増加の傾向にあると思われます。 メインフレームでは、長年利用されている中で標準化や自動化、また運用改善を繰り返し、安定稼動や低コスト運用が実現されてきました。 その後、やっと落ち着いてきた矢先に急激なオープン系の増加によりやメインフレームのような標準化がまだ確立されないままに様々なシステムが構築され、連日、手間や作業負荷がかかるシステムの引継ぎに追われている情報部門も少なくはないと思われます。
 
いくらオープン系とはいえ、OSや管理ツール、業務ソフトなどを搭載し、言ってみればサーバが稼動する度にメインフレームがサーバの台数分増えたようなもので、当然維持・管理することはその分増加する。 たとえオープン系であろうと、メインフレームの基本の監視や制御、出力などを共通化・統合化させる考え方を取らなければ、今後も運用コストは増加の一途をたどると思われます。
 

今後の掲載予定

前置きはこのぐらいにし、ここでは他のコーナーとは違い、運用の現場の泥臭い内容を中心に、話題や事例を提供していきます。 当面は以下の予定で掲載を考えておりますが、皆様の意見を取り入れながら、必要に応じて掲載して行こうと考えております。

大切な運用方針

どんなに使う道具、環境、システムが変わろうとも、運用としてのスタンスは 安定運用を責務としている情報部門としては同じです。
この第一回目の掲載を開始するにあたり、内容は軽いものですが、まずは運用の原点である『運用方針』から考えてみましょう。ここでは”運用ゲンジン”が今までの30年の運用で持ち続けてきた運用方針について記載しておきます。 もちろん皆さん一人一人違うとは思いますが、このキーワードを参考にしながら独自の運用方針、あるいは運用十か条のような指針を作ってみてはいかがでしょうか。
 
なぜこんな当たり前のようなサンプルキーワードを?と思われるかも知れませんが、情報部門の役割や責務を考え、また安定運用をさせたいという願い、それが方針であり、標準化や各人の仕事の仕方や意識になるものなので、当たり前を大切にしたいものです。多くの運用部門、あるいは情報部門を見てきて、こういった運用方針がなく、単に決められた、作られた、指示された運用をしているだけという情報部門を多く見受けられます。その結果、運用としての関所の機能も果たせず、当然、設計ポイント、引継ぎチェックポイント、運用設計事項などもないため、単に受け身の運用をするだけとなっているようです。 仮にあったとしても、考え付くもので作るためか一貫性もなく、どちらかといえばないに等しい。 
 
運用設計事項や、運用改善ポイント、設計考慮点、引継ぎチェックポイントなどは、単に作ればいいのではなく、こういった運用方針、運用の指針などに基づいて作られて初めて生きた武器に変わると思います。
 

運用ゲンジン ノウハウ 「運用方針設計のポイント

□ 業務量が増加しても運用要員は増加させない(専任の役割が増加する場合を除く)

□ オペレータの手を煩わせない:判断・確認・介入・ハンドリング

□ 運用作業は属人化させず、誰でもが同じ管理・作業が行えるように

□ 処理や作業は極力定例化させ、緊急・臨時・随時のサイクルは極力排除

□ 自動化を追求:無人化は目指さない

□ 業務量が増加しても運用コストとして一定化か低コスト運用を追求する

□ 過去の経緯や決め事の理由を明確化し、スキルとなる点については周知・継承を

□ スキルにならない労力となる人的作業は、より効率化・省力化・機械化・自動化を図る

□ 運用が関所にならなければいいシステム(業務)運用はできない

□ いいシステムのためにも、あえて開発からうるさい運用(強い)と思われること

□ 環境の変化が改善や見直しのチャンス

□ ただ言われた運用をするのではなく、業務やシステムを理解した運用を心がける

□ 改善することで逆に管理・作業が増加しないこと

□ 改善するときはいつも運用の全体を見て検証を

□ 改善の仕組みや方法は、作ることよりも維持することを、また使う人の立場で

□ 些細な改善でも必ず運用設計を

 

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筆者紹介

ITシステム運用コンサルタント

沢田典夫氏

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