ITシステム運用コンサルタント
沢田典夫氏
改善の状況
運用状況を把握したり分析するためには、その会社での運用の仕方を理解することから始まります。以前からは、運用はどの会社でも同じという声を良く聞きましたが、運用は100社あれば100通りの運用があり、それぞれの会社で必ず何かしら違いがあります。
その違いは、使用OS、使用ツール、運用の仕組み、標準化度合い、システムの規模、業態、要員体制、管理に対する意識、改善度合いなど、それら一つ一つの状態によって運用の仕方は様々に変化します。
運用とは何か、
第一回でも述べましたように、環境やシステムを安定的に運行するために、それらを自動運転させる仕組みや標準化、日常操作、関係者での運用ルールや手順に基づいた日常の管理や作業、確認作業など、ハードやソフト、システムではできないような人間的な作業全体を「運用」と定義します。
仕組みや環境とは違い、ほとんどが人の作業によって行われるため、各社の運用の仕方は様々になります。こういった人手で行われる作業であるがために、色々なミスもあり、曖昧さがあったり、非効率な作業を生み出したりもします。このようなことがが問題点であり、長年かけてひとつひとつの改善を繰り返してきて今日のメインフレームの運用を多くの会社は作り上げてきました。
最近ではこうした改善もほとんどやり遂げ、以前のような大きな改善効果も出せる改善も減り、改善するにしても手間、暇がかかる割には効果もあまり期待できない状況にあります。
自動化がだいぶ進んだものと思われますが、それでも管理/作業面での人的改善は相変らず残っています。また、どちらかといえば、最近の急激なオープン化での改善課題が多いのが現在の状況ようです。
改善するには己を知る
改善するためには問題点が明確になれば、おのずと対策は見えてきます。
多く場合は、内部で作業をしていると、決められた作業として行うため、なかなか問題とは気づきにくいものであります。
意識として、問題に直面した際に「なぜ?」と疑問を持つことや問題意識を日頃から持ちながら作業をしてれば分かるとは思います。日常作業を行う中では、その決められた作業を問題として考えるのはなかなか難しく、日頃から問題改善提起を作業の一環で取り組んだり、通常作業とは別な改善組織体をもって改善にあたっているケースであれば話しは別ですが、日常作業中心で、また別な組織体を設ける余裕もない場合は、問題提起さえも難しいのが現実です。
内部での現状の運用状況や問題点の掘り出しが難しいため、われわれ”運用ゲンジン”のような第三者による運用コンサルの登場となるわけですが、以前は簡単なヒアリングだけで運用の全体がつかめましたが、世代も仕事の仕方も変わり、時間をかけて多くの関係者にヒアリングを行わないと、全体がつかめなかったり、聞いても、さ~、何ででしょうか、以前からそうだったので、という回答が多く、これからの運用は大丈夫かいな!なんて人事ながら心配する昨今です。
第一回でも話をしましたが、運用は決め事の理由や過去の経緯を継承することがこれからの運用を継続したり、改善するためにもっとも重要なことです。
運用が行う、あるいは管理することは、ただやってるだけではなく、何かしら意味や目的、理由があって行うもので、安定運用には欠かせないものです。新しいことへの取り組みも大切ですが、まずはみなさんの今の運用状況や経緯を振り返ってみてはいかがでしょうか?
運用状況の把握
第一回では運用の基本となる運用方針からスタートしましたが、第二回としては運用状況を把握するためのヒアリング事項について触れたいと思います。もちろんキーワードの羅列なので、これだけで全てではありませんし、また運用の全てが把握できるわけではありません。
一つの確認項目から更に枝葉を広げながら確認していきますが、それについてはどれだけ運用の仕事をやってきたり分かっているかであり、同じヒアリング項目を使ってもやはりヒアリングを実施する人の経験によって大きな差がでます。
ヒアリングで大切なのは、確認したことで、頭の中ではっきりそこの運用状態が描けることで、あり、一通り確認が終わった時点で、実際の運用状態を立ち会い確認した姿とどれだけ近いかがヒアリングの精度につながり、それだけで問題点の把握も正確にできたといえます。
ヒアリング時での主な大分類
- 体制、役割
- 管理/作業
- 手続き/手順
- 引継ぎ
- ドキュメント、マニュアル、申請書式
- 標準化
- ツール
- 仕組み
- システム
- トラブル
- 入力
- 処理
- 出力
- 媒体
- 帳票
- 設備
- 方針、方向性
- 感じる問題点
- 作業負荷の高い作業
- 改善したいこと
などのキーワードを、更に中分類、小分類に整理したものが、概要ヒアリングや詳細ヒアリング項目になります。
全体的に把握する場合には概要ヒアリングを、更に詳しく把握する場合には詳細ヒアリングというように、用途は異なりますし、詳細を使用する場合には運用を経験した人が使うことをお勧めします。
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