運用規約、運用設計書

第6回 明確化・標準化、運用体制・役割の見直し

概要

システム運用改善一筋に30年!!人生を運用改善にかけた「運用ゲンジン」のノウハウを大公開します。 現場での経験をいかしたカイゼン実行のコツと事例を掲載します。

今年も早くも一ヶ月が過ぎ、そろそろ仕事のペースも落ち着いて来た頃だと思いますがいかがでしょうか?この投稿も6回目になりましたが、少しは皆様のお役にたてていますでしょうか?話の内容としては当たり前のことを私なりにまとめただけですので、皆さんが知りたいことになかなかお応えできていないとは思いますが、皆さんの意見を聞かさせていただきながら、これからの運用設計や運用のあり方を一緒に研究させていただければと思います。   
さて、本題ですが、今までは運用方針に始まり、運用設計の全般について話を進めてきましたが、これからは個々の運用設計について少しブレークダウンし、設計の展開について触れていきたいと思います。
 

明確化・標準化

運用設計、あるいは言葉を変えれば昔で言う標準化としては色々ありますが、大別すると人(作業関係者)と環境に関わることを取り決め、統一化することで安定的な運用を継続的に行わせるものですが、業務のリリース、ツール導入、あるいは見直しや改善などを行う場合には何かしら取り決めされた事項の基に作業が遂行されます。そういった明確化させておく必要なこととしては以下のようなものがありますが、それらを定義し、こと細かく整理、規定、統一化し、こういった沢山のことを長年の間に見直し・改善しながら積み上げてきて今日の安定運用があります。
 
  1. 運用体制/役割
    • 組織:運用管理、運用、ヘルプデスク、構成管理、問題管理、インフラ(環境・運用)、デリバリーなど
    • 個々の主な作業役割
    • 個々の要員、シフト
  2. 管理/作業
    • 個々の役割での管理事項、主な作業事項
    • 運用管理、オペレータ
    • 定例/サイクル/随時
  3. 手続き/手順
    • 個々の作業を遂行する上での作業の流れ、手続き/手順
    • 使用申請書式
    • 判断、確認、承認
  4. 運用ルール
    • 作業を遂行する上での取り決め事項
    • 制限、制約
  5. ドキュメント
    • 使用申請書式、使用管理資料、帳票
    • 保管/廃棄ルール
  6. マニュアル
    • 運用マニュアル
    • 手順書
  7. 通報、連絡
    • 通常作業時
    • 異常時
    • ユーザ、開発、メーカ、ベンダ、消耗品、その他
  8. 対応
    • 通常時
    • 異常時
    • 災害時
  9. 環境
    • 運用環境、業務環境、システム環境
    • 運用の仕組み
    • セキュリティー(部屋、端末、データ、媒体、環境)
  10. 保管、管理
    • 在庫、発注
    • 用紙
    • 媒体
    • トナー
  11. 運用方式
    • 運行、監視、制御
  12. 運用ツール
    • 監視
    • スケジューラ
    • 管理(Log、分析)
    • 入力
    • 出力
  13. 標準化
    • JOB,JOB-Net
    • スケジュール
    • メッセージ
    • レポート
    • 媒体
  14. その他
 

運用体制・役割の見直し

運用は企業の中で初めてコンピュータが導入されてから長年の間に改善を繰り返しながらやっと今日の防戦型の運用が確立されてきましたが、昨今のオープン系の急速な広がりによる短期間での受け入れや、SI的な構築による頻繁な引継ぎ、世代交代などにより、従来取り決めた運用ルールや作業方法、作業範囲などもだいぶ変化してきており、従来のホスト中心よりオープン系主流になりつつある今、こういった運用体制、ルール、作業方法などの見直しの時期だという声を多く聞くことが増えてきました。 ここではそういった声から、運用体制・役割、あるいは現行の作業の見直し(一部、前面)を想定した場合の展開についてサンプル的に整理してみます。もちろんこうでなければということはありませんので、機会があれば参考にしてみてください。
 
  1. 現状の調査/把握
    • 現体制、要員数、シフト
    • 各作業役割の整理
    • 各役割での主な管理/作業整理
    • 各作業のサイクル、ボリューム感
    • 各作業の基本的な作業の手続き/手順
    • 使用ドキュメント、申請書式、使用マニュアル、使用手順書
    • 現行での運用方式(運行・監視・制御、ツール、仕組み)
    • 一日の作業の流れ
    • 作業イベント(日、週、月、期、年)
    • ※外部調査:システム構成(ハード、ソフト)、システム概要、サービス概要、システム規模
  2. 現状での問題点整理~改善点整理
    • 課題の整理
  3. 今後の運用に向けての運用方針
    • 防戦型より攻撃型
  4. 運用管理体系の整理
    • メインフレーム、オープン系
  5. 方針に基づく主な作業の整理
    • 必要な管理と必要な作業
    • 無駄な作業、改善する作業、新たな必要な作業
    • 現行作業との整理
  6. 作業の整理による作業役割の整理
  7. 必要な作業と作業役割による必要な作業体制
    • 運用管理、運用準備(引継ぎ、構成管理)、運用:オペレータ、ヘルプデスク、運用インフラ
    • 現行体制との整理
    • 現行との違い
    • 検討、切り替えのための体制
  8. 各作業の運用設計(見直し)
    • ⇒検討、作成(作業関係者による)  従来の問題点、今後のオープン系を意識
    • 作業体制に基づく手続き/手順
    • 運用ルール
    • 申請書式
    • 使用管理資料、帳票
    • 一日の作業の流れ(管理系、作業系)
    • 作業イベント(日、週、月、期、年)
    • 作業チェックシート
    • 作業指示書、手順書
    • 運用マニュアル
  9. 設計作業のレビュー、試行、チューニング
    • 現行作業体制と並行に行うので、作業負荷や担当の選定に注意
    • 基本的な一日の作業の骨格の流れから
    • 時系列に
    • 8、9の繰り返し
  10. 新作業体制、新作業方法のレビュー、訓練、チューニング
    • 運用切り替え
 
次回は、さらに各事項を詳細に紹介します。

連載一覧

コメント

筆者紹介

ITシステム運用コンサルタント

沢田典夫氏

バックナンバー