早いものでもう二月も中旬を過ぎ、この時期は今年度の仕上げや来年度の予算などと、トラブル以上に頭の痛いことが多い時期かも知れませんが、皆さんの会社ではどうでしょうか?
特にオープン化が進み、メインフレームに対する予算をかなり削減するという声を聞くことも増えました。せっかく安定運用ができるようになり、これからオープン化に向けての整備や受け入れ体制を整えようという時期に、またもや手痛い通達などのせいで頭が痛いを通り越して、頭を抱えてはいませんか?
この時期の判断によって、これからの運用もかなりの影響を受けるのではと危惧する毎日です。
さて、今回は多くの会社でこの時期に話題になる”来年度の運用における課題”をテーマにしたいと思います。
運用基盤
前回の第6回では、体制/役割の見直しということに焦点を当てて、その展開についてお話しました。そこで気づかれた方もいらっしゃるかと思いますが、体制/役割に見直しを行う場合の課題は、明確化や標準化すべき事項のほとんどに触れることになり、こういった事項が実際に運用の基盤になっているということです。
ここで紹介するキーワードはこれからも必要になりますし、作業を分解した場合にやるべきこととして計画に載せるべき事項にもなりますので、記憶にとどめていただければ幸いです。
前回と重複するかも知れませんが、以下に明確化すべきキーワードを記載しておきます。
詳細は第6回を参照してください。
- 運用体制/役割
- 管理/作業
- 手続き/手順
- 運用ルール
- ドキュメント
- マニュアル
- 連絡
- 対応
- 環境
- 保管、管理
- 運用方式
- 運用ツール
- 標準化
課題
運用の中で、日々の定例運用以外に大切なこととして、改善や見直しという課題があります。こういった課題に対する対応は、日々の運用工数の中で行われるため、どうしても後回しになりがちで、なかなか進まず、時間がかかります。
でも、遅れることは皆さんの作業がいつまでも楽にはならないわけで、こういった改善作業時間をいかに捻出するかがよい運用への成功の鍵だと思います。
私自身も、自分が楽するために”一日一善”を信念として続けてきました。(若い頃ですが)
毎日一つ改善を心がけて行動に移せれば、年間では計算上約260件は改善できることになります。私の場合は、そうしなければ自分が楽にならなかったので、やるしかなかったのですが、それによって楽になれたのも事実です。
一日一善とはいかなくとも、そんな目標を立てて進まれてはいかがでしょうか?
話はそれましたが、よく聞く主な課題としては以下のようなテーマがあるかと思います。
- 改善
- トラブルの削減
- 運用作業の効率化、作業や指示書の削減化
- 統合化、自動化
- 自動化
- 運用ツールの導入
(監視、スケジューラ、レポート、分析など) - オープン化
- 統合監視
- 統合運用
- 統合出力
- 整備
- 体制/役割
- ドキュメント、マニュアル、指示書
- 管理/作業
- 運用ルール
- 見直し
- ジョブネット
- リソース
- 媒体
- 帳票
- バックアップ
- 機器・設備
- DISK
- セキュリティ
- 災害対策
など
こういった課題に対してはさらに作業事項がありますので、一例として記載してみます。
- トラブルの削減
- [1]状況の分析、[2]対応策の検討、[3]標準化、[4]標準化に従い、変更点の洗い出し、[5]対策の実施(アプリケーション、JCL、ジョブネット、ドキュメント)
- 運用作業の効率化、作業や指示書の削減化
- [1]状況の分析、[2]対策としては監視・制御・スケジューラのツールを活用した対策の検討、[3]現行の運用方式の見直し(指示書作業などを吸収できる運用方式の検討)[4]新運用方式の設計、関連する標準化、[5]新運用方式としての環境・仕組みづくり、[6]運用方式で吸収できない事項の対策
- 自動化
- 運用ツールの導入
- (監視、スケジューラ、レポート、分析など)
- オープン化
- 統合監視
- 統合運用
- 統合出力
- [1]使用ツールの機能概要把握、[2]運用方式設計、[3]運用設計(流れ、環境、仕組み、管理/作業、異常時)、[4]ツールによる環境構築、[5]運用テスト、チューニング、[6]移行設計、移行作業
- 体制/役割
- ドキュメント、マニュアル、指示書
- 管理/作業
- 運用ルール
- ※第6回参照
- ジョブネット
- [1]処理時間、時間帯、多重度、使用リソース、重要度、処理の特性、異常時の色分けや分類、分析、[2]基本のジョブネット構成の見直し、[3]ブロック構成やグルーピング、監視・可視化ツールでの見せ方の構成検討、[4]ジョブネットの組みなおし、[5]運用テスト(部分的)
- リソース
- [1]DISK使用情報、負荷情報の収集、[2]時系列での分析、[3]各ファイル属性、特性、収容件数、増減の調査、[4]JOB内ファイルの使用量、使用後の扱い情報、[5]保存ファイルの配置検討、[6]ファイル/カタログの再編成、[7]JCL変更、[8]DISKバックアップ、[9]JCL標準化
- 媒体
- [1]媒体棚卸、[2]媒体使用JOBの媒体情報、[3]媒体管理台帳、[4]使用媒体の事由、要/不要、サイクル、取得方法、取得タイミング、[5]DISK保存ファイルより、媒体取得の有無、[6]媒体の取得方法変更(JCL変更)、[7]媒体の整理、[8]媒体ラベルの整理、[9]指示書の改訂、[10]保管先変更(棚、キャビネ、金庫)[11]外部保管運用、[12]バックアップ、JCL、媒体保管に関する標準化、[13]媒体変換作業
- 帳票
- ※削減
[1]帳票情報の収集(出力JOB、時期、配布先、出力量など)、[2]帳票サンプルの収集、[3]配布先現場での調査依頼⇒不要とはなかなか言わないので、実際に使用しているかを確認する方法として、出力や配布を一時保留し、利用度を確認、[4]受け取り依頼なしは明らかに不要、[5]帳票台帳
※ツールによる管理は運用ツールの導入が前提 - バックアップ
- [1]バックアップ情報整理(DISK、サイクル、使用JOB、タイミング)、[2]取得JOBよりジョブネット構成図で色分け、[3]取得JOBにより、異常時の対応が可不可を調査、[4]調査済みJOBの色分け、[5]調査されなかったJOBの異常時対応の可不可調査、[6]異常時対応が可能になるようJOBの変更(タイミング、取得方法、収容方法、未取得)、[7]バックアップの標準化、[8]管理台帳
など、どれをとっても簡単にできるものはなく、手間ひまかかるものばかりのため、こういった改善課題もきちんと日常の中で継続的に計画して進める必要があります。
また、ここで記載した課題は、やれば必ずよくなり、結果が見えるものですので、運用改善を進めるには、1つ1つの改善結果を見て実感してもらうことが大切だと思います。
さて、皆さんの会社では来年度はどんな課題を計画されているでしょうか?
連載一覧
筆者紹介
沢田典夫氏
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